ここでは、令和4年度に実施された関西広域連合の製菓衛生師試験について、科目別に私なりの見解で解説をしていきます。
ここでは、「製菓理論」を解説していきます。
よろしければ、製菓衛生師試験勉強のお役に立てれば幸いです。
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【製菓理論】
問37 でん粉の種類とその含有成分の比率の組合せとして、正しいものの組合せを一つ選べ。
でん粉の種類 ー 含有成分の比率
ア 糯とうもろこし ― アミロース 17% ― アミロペクチン 83%
イ 小麦 ― アミロース 24% ― アミロペクチン 76%
ウ 糯米 ― アミロース 0% ― アミロペクチン 100%
エ タピオカ ― アミロース 83% ― アミロペクチン 17%
1 ア、イ
2 イ、ウ
3 イ、エ
4 ウ、エ
正解:2
解説:でん粉は、ブドウ糖分子が多数結合した高分子化合物です。一般にアミロペクチンとアミロースからなっており、一般のでん粉は、アミロペクチンが約80%、アミロースが約20%の割合で含まれています。ですが、「糯」が付くものに関しては、アミロペクチンが約100%、アミロースが約0%の割合で含まれています。
問38 小麦粉の原料である小麦粒に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せを一つ選べ。
小麦粒の組成は( A )が約83%を占めており、( B )は約15%、( C )は約2%である。( B )は家畜の飼料に、( C )は健康食品などに利用される。
A B C
1 胚乳 ― 胚芽 ― 表皮
2 表皮 ― 胚乳 ― 胚芽
3 胚芽 ― 胚乳 ― 表皮
4 胚乳 ― 表皮 ― 胚芽
正解:4
解説:小麦粒について、胚乳は、小麦粉として使用され、主成分は「炭水化物(糖質)」です。胚芽は、ミネラル、ビタミンなど栄養素が一番多く含まれています。表皮は、「ふすま」となって飼料として使われます。
問39 バターに関する記述について、誤っているものを一つ選べ。
1 バターの可塑性範囲はカカオバターより広い。
2 発酵バターは、クリームを乳酸発酵させて作ったものである。
3 バターの代替品として、マーガリンがフランスで開発された。
4 バターは牛乳に酵素を加えたんぱく質を凝固させて作ったものである。
正解:4
解説:バターは、クリームからさらに攪拌の工程を経て、脂肪球を集めたもので、一般に脂肪分が約85%、水分が約15%に調整されています。バターには、食塩の添加の有無、乳酸菌による発酵の有無によって風味や期限が変化します。
問40 米粉の名称、原料米、処理方法の組合せとして、正しいものを一つ選べ。
1 羽二重粉 ― 糯米 ― 生のまま
2 道明寺粉 ― 粳米 ― 糊化
3 上新粉 ― 糯米 ― 生のまま
4 早並粉 ― 粳米 ― 生のまま
正解:1
解説:米粉は、粳米や糯米を原料として、そのまま、または吸水後、あるいは加熱糊化後乾燥、製粉したもので、地方によりいろいろな名称で呼ばれています。
「道明寺粉」は、糊化した糯米が原料です。「上新粉」は、生のままの粳米が原料です。「早並粉」は、糊化した粳米が原料です。
問41 鶏卵に関する記述について、正しいものの組合せを一つ選べ。
ア 卵黄は脂質が多く、卵黄固形物の約63%を占めている。
イ 卵白は、温度が高いほど、起泡性と泡の安定性が良い。
ウ リポたんぱく質とは、卵白のたんぱく質と水分が結合したものである。
エ 卵白は、泡立てると空気との界面(接触している面)で凝固する性質がある。
1 ア、イ
2 ア、エ
3 イ、ウ
4 ウ、エ
正解:2
解説:卵の構造としては、卵殻の中に卵黄と卵白があり、卵黄は脂質が多く、卵白は水分が多くなります。そして、卵の起泡性を大きく示すのは、卵白になります。
卵の起泡性は、温度が上がると、表面張力が緩まり泡立ちが良くなりますが、潰れやすいです。また逆に温度が低いと表面張力が強くなり泡立ちが悪くなりますが、潰れにくいです。
リポたんぱく質について、卵黄に含まれているたんぱく質の33%を占めています。このたんぱく質は、レシチンを主成分とするリン脂質やコレステリンになっています。
問42 油脂に関する記述について、誤っているものを一つ選べ。
1 油は常温で液状であり、脂肪は常温で固体状である。
2 油脂は光や紫外線に当てると変敗が促進される。
3 ショートニング性とは、水と油脂が均一分散し、乳化することをいう。
4 ミキシング前後の容積重を測定し、含まれる気泡量を油脂に対する割合(%)で表したものをクリーミング価という。
正解:3
解説:油脂の加工適正について、可塑性、クリーミング性、ショートニング性、フライング性、安定性があります。このうちショートニング性とは、製品にサクサクとしたもろい食感(ショートネス)を与える性質です。
問43 糖類に関する記述について、誤っているものを一つ選べ。
1 白双糖は中双糖に比べ水分、転化糖、灰分の含有量が少ない。
2 砂糖は水に溶けやすく、20℃の水1 に対してショ糖2 を溶解できるので、加工性が高い。
3 グラニュー糖は「ビスコ」の影響でメイラード反応による着色が起こり、焼き菓子の焼き色を出しやすい。
4 三温糖は味が濃厚で、分蜜糖に分類される。
正解:3
解説:3の文は、上白糖の特徴です。グラニュー糖は、白双糖のように純度が高く、粒子が細かいのが特徴です。
問44 イスパタのガス発生基剤として、正しいものの組合せを一つ選べ。
ア 炭酸水素ナトリウム
イ 炭酸水素アンモニウム
ウ 塩化アンモニウム
エ 塩化ナトリウム
1 ア、イ
2 ア、ウ
3 ア、エ
4 イ、ウ
正解:2
解説:イスパタは、炭酸水素ナトリウムと塩化アンモニウムを混ぜた、アンモニア系合成膨張剤です。白く仕上げる効果が強く主に蒸し物に利用されます。
問45 でん粉糖のうち、下記の特性を持つものとして、正しいものを一つ選べ。
「甘味度は砂糖の半分以下で、甘味よりもデキストリンによる増粘効果や艶出し乾き止め、砂糖の結晶防止に使われる。」
1 ブドウ糖
2 異性化糖液
3 麦芽糖
4 水飴
正解:4
解説:でん粉を酸または酵素で分解すると、デキストリンからブドウ糖まで糖化することができます。これを総称してでん粉糖と呼んでいます。でん粉糖の糖化には、酸糖化、酵素糖化、麦芽糖化の3種類があります。※デキストリン は、でん粉またはグリコーゲンを加水分解(低分子量)した炭水化物の総称です。
問46 牛乳の乳糖に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せを一つ選べ。
乳糖は乳固形分の( A )%近くを占め、ブドウ糖と( B )からなり、水に( C )。
A B C
1 60 ― 果糖 ― 溶けにくい
2 40 ― ガラクトース ― 溶けにくい
3 40 ― 果糖 ― 溶けやすい
4 60 ― ガラクトース ― 溶けやすい
正解:2
解説:牛乳の主成分は、脂肪、たんぱく質、乳糖、灰分で、ほかに微量成分としてクエン酸、レシチン、コレステリンや酵素が含まれています。牛乳のたんぱく質について、一般に乳たんぱくといわれており、主にカゼイン、ラクトアルブミン、ラクトグロブリンの3種類で、カゼインが一番多く、100℃でも凝固しない特徴があります。また酸を加えると凝固します。
問47 練乳に関する記述について、誤っているものを一つ選べ。
1 全脂加糖練乳は、ショ糖が40%程度含まれている。
2 牛乳を濃縮したもので独特の風味がある。
3 加糖練乳は無糖練乳に比べ、防腐力が高い。
正解:4
解説:練乳と粉乳の違いに注意しましょう。練乳は、牛乳を濃縮したもので、加糖と無糖の2種類があります。粉乳は牛乳を乾燥、粉末にしたものになり、全脂と脱脂の2種類があります。
問48 凝固材料の寒天に関する記述について、正しいものを一つ選べ。
1 果実や野菜類から抽出される。
2 ゲル強度は、ゼラチンの10 分の1 程度である。
3 熱不可逆性である。
正解:4
解説:寒天について、原料は、海藻の紅藻類であるテングサ、オゴノリ、ヒラクサなどの細胞を形成する炭水化物を熱水で抽出してつくります。ゼラチンに比べて、10倍の凝固力をもちます。酸に弱く、分解されて凝固力を失ってしまいます。※対応としては、寒天溶液を50℃近くまで冷ましてから加えるとよいです。
問49 小麦粉の種類と特性(粒度、グルテン量)の組合せとして、正しいものを一つ選べ。
種類 粒度 グルテン量
1 薄力粉 ― 細 ― 少
2 中力粉 ― 粗 ― 中
3 強力粉 ― 極粗 ― 中
4 デュラム粉 ― 中 ― 多
正解:1
解説:用途別に分類された小麦粉は、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉という名称で分けられています。基準は、小麦に含まれているたんぱく質の質と量の違いです。たんぱく質に含まれているグルテニンとグリアジンが水と力を加えられグルテンを形成しますが、このグルテンが強いものは強力粉、弱くなると薄力粉というかたちで表現しています。
問50 ココアパウダーに関する記述について、正しいものを一つ選べ。
1 カカオマスに粉乳、粉糖、カカオバターを加えたものである。
2 カカオ豆に約50%含まれる脂肪から成る。
3 カカオマスを加熱・圧搾して、カカオバターを採取したココアケーキを粉砕したものである。
4 チョコレートを口に入れるとすぐに溶けるのは、ココアパウダーの特性による。
正解:3
解説:ココアパウダーは、カカオマスを加熱したカカオペーストを圧搾して、ココアバターを採取したココアケーキを粉砕したものです。ココアパウダーは、脂肪約20%、たんぱく質約20%、炭水化物約30%含んでいます。また品質は、色と香りとココアバター含有率で決まります。
問51 核果類に分類される果実として、誤っているものを一つ選べ。
1 リンゴ
2 あんず
3 さくらんぼ
4 うめ
正解:1
解説:果実の分類は、仁果類、準仁果類、漿果類、核果類、種実類(堅果類)、熱帯果物類、果菜類に分けられます。このうち核果類は、もも、うめ、あんず、おうとうなどがあります。※さくらんぼは、「おうとう」ともいいます。仁果類は、りんご、なし、びわなどがあります。
問52 補助材料に関する記述について、誤っているものを一つ選べ。
1 アルギン酸ナトリウムは、膨張剤のガス発生剤として使われる。
2 ローカストビーンガムは、練り餡の離水防止に使用される。
3 食用タール系色素は、検査合格証で容器包装を封かんしたものを購入する。
4 食用タール系色素は、指定された使用基準を厳守する。
正解:1
解説:膨張剤として使用されているガス発生基剤は、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウムの3種類があります。アルギン酸ナトリウムは、海藻に含まれている食物繊維の一種です。
問53 酒類のうち、果実を原材料とするものとして、誤っているものを一つ選べ。
1 ワイン
2 キルシュワッサー
3 ラム
4 シェリー
正解:3
解説:ラムの原料は、さとうきびです。ワインは、ブドウが原料になります。キルシュワッサーは、サクランボが原料になります。シェリーは、白ブドウが原料になります。
問54 香辛料に関する組合せについて、正しいものを一つ選べ。
1 カルダモン ― 辛味性香辛料
2 レッドペッパー ― 芳香性香辛料
3 キャラウェー ― 辛味性香辛料
4 コリアンダー ― 芳香性香辛料
正解:4
解説:香辛料は、大きく辛味性香辛料と芳香性香辛料に分けられます。辛味性香辛料は、ジンジャー、レッドペッパー、わさびなどです。芳香性香辛料は、オールスパイス、ナツメグ、シナモン、メース、クローブ、キャラウェー、カルダモン、アニス、コリアンダー、ジル、フェンネル、ローレルリーフ、ハッカなどです。
以上が、令和4年度に関西広域連合で実施された製菓衛生師試験の製菓理論の解説です。
製菓理論は、近年組み合わせ形式の問題が多く出題されています。対策としては、各分野の特徴をしっかりと抑えておき、複数の事柄を問われても対応できるようにしておく必要があります。令和4年度は、菓子原材料について万遍なく出題されており、とてもバランスの良く、逆に解きやすい感じがしました。今回出題されていない「塩」や「酵母菌」などは、一見製パンの分野と思い、見落としがちの材料となります。試験対策としては、しっかりと抑えておきたい原材料となるので特徴を抑えておくとよいでしょう。
また製菓理論は、出題数が全科目の中で一番多い科目です。しっかりと把握しておきましょう。
実際の試験問題は、関西広域連合のHPで公開されています。過去問題を繰り返し解いていくことで、出題される問題の傾向が見えてきます。
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令和4年度製菓衛生師試験問題【関西広域連合】(PDF:355.6KB)
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