ここでは、令和2度に三重県で実施された製菓衛生師試験について、科目別に私なりの見解で解説をしていきます。
今回は、製菓理論をみていきます。
よろしければ、まだ実施されていない令和4年度の製菓衛生師試験勉強のお役に立てればと思います。
また令和3年度に実施された製菓衛生師試験について、以下より確認ができます。
【製菓理論】
問37:次の砂糖に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1 砂糖の主な原料は、甘蔗(さとうきび)と甜菜(さとう大根)である。
2 転化糖とは、ショ糖を加水分解して得られるぶどう糖と果糖の混合物のことをいう。
3 グラニュー糖は、含蜜糖の一種である。
4 黒砂糖は、上白糖に比べ水分含有率が高い。
正解:3
解説:製糖工程で蜜を取り除く工程があります。少しでも蜜を取り除いた砂糖はすべて「分蜜糖」に分類されます。逆に蜜を取り除かないで製糖したものは「含蜜糖」に分類されます。砂糖の分類の中で含蜜糖に入るのは「黒糖(黒砂糖)」のみです。その他の砂糖は、すべて分蜜の工程があるため分蜜糖に分類されます。また黒糖(黒砂糖)は、原料が「さとうきび」であることも合わせて覚えておくとよいと思います。
問38:次の甘味料に関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 和三盆糖は、さとう大根の搾り汁から作られ、淡白な甘みをもつ。
2 トレハロースは、ショ糖の100倍の甘味があり、甘味補強として用いられる。
3 蜂蜜の主成分は、ショ糖である。
4 水飴に含まれるデキストリンには、ショ糖の結晶化を防止する効果がある。
正解:4
解説:和三盆糖は、「さとうきび」から精製され、灰分(ミネラル)が残り、風味が非常に優れた砂糖です。トレハロースは、でん粉が原料となり「ブドウ糖が2分子結合した」低甘味料です。蜂蜜の主成分は、ブドウ糖と果糖が結合していない(単糖類)為、ショ糖(二糖類)ではありません。
問39:次の小麦粉に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1 小麦粉は、たんぱく質の含有量により、薄力粉、中力粉、強力粉などに分類される。
2 パンの製造には、薄力粉が最も適している。
3 小麦粉の主成分は、でんぷんである。
4 1等粉は、2等粉に比べ灰分含量が少ない。
正解:2
解説:パンの製造には、小麦に含まれているグルテン(たんぱく質)が重要な役割を担っています。用途別分類より「グルテンの質と量」が強いものは強力粉になるため、製パンでは強力粉を使用します。逆に薄力粉は、強力粉に比べてグルテンは弱くなります。薄力粉の用途としては、柔らかく仕上げたい生地に向いている小麦粉といえます。
問40:次のでんぷんに関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 βでんぷんは、αでんぷんより消化吸収されやすい。
2 糊化とは、でんぷんに水を加えて加熱したときに糊状になることである。
3 タピオカでんぷんは、地上でんぷんに分類される。
4 もち米のでんぷんは、アミロペクチンをほとんど含まない。
正解:3
解説:糊化したでん粉を「αでん粉」と呼びます。糊化したでん粉は、消化吸収が良くなります。またβでん粉は、老化したでん粉のため、消化吸収は劣ります。タピオカの原料は、キャッサバという植物の根の部分にあるでん粉となるため、地下でん粉に分類されます。「糯」が付くでん粉は、アミロペクチンが約100%含まれているため粘りが非常に強くなります。
問41:次の原料米と米粉の組み合わせのうち、正しいものを1つ選びなさい。
2 うるち米 ― 羽二重粉
3 もち米 ― 上新粉
4 もち米 ― 道明寺粉
正解:1
解説:白玉粉の原料は、生の糯米です。羽二重粉の原料は、生の糯米です。上新粉の原料は、生の粳米です。
問42:次の鶏卵に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1 卵黄に含まれるレシチンは、強い乳化力を持っている。
2 卵白の起泡性は、卵の鮮度や温度などの影響を受ける。
3 糖類と合わせて加熱すると、メイラード反応を起こして着色する。
4 新鮮な鶏卵ほど、水様卵白が多い。
正解:4
解説:卵白には、濃厚卵白と水様卵白の2種類があります。産みたての新鮮な卵ほど濃厚卵白が多い割合です。しかし、日が経つにつれ鮮度が落ちるため濃厚卵白は次第に水様卵白へ変化していきます。
問43:次の油脂に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1 ショートニングには、ケーキ用、パン用など、さまざまな使用目的に合わせた製品がある。
2 マーガリンは、バターの代替品として開発された。
3 油脂のクリーミング性とは、固形脂の硬さが温度の変化によって変わる性質のことである。
4 油脂のショートニング性とは、クッキーなどをサクサクと軽い口当たりに仕上げる性質のことである。
正解:3
解説:油脂の加工適正のひとつにクリ―ミング性があります。この性質の特徴は、「空気を抱き込み」なめらかなクリーム状になるということである。かたさの変化に関する性質は、油脂の可塑性になります。
問44:次の牛乳に関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」において、牛乳とは、搾取したままの牛の乳をいう。
2 牛乳に含まれるたんぱく質のうち、割合が最も多いのはカゼインである。
3 牛乳に含まれる炭水化物は、ほとんどが果糖である。
4 牛乳に含まれる無機質成分のうち、割合が最も多いのは鉄である。
正解:2
解説:牛乳とは「生乳をろ過、均質化、殺菌、冷却して容器に詰め、飲用できるようにしたもの」です。牛乳に含まれている炭水化物(糖質)のほとんどが「乳糖」になります。無機質(ミネラル)成分で割合が最も多いのは「カルシウム」になります。
問45:次の乳製品に関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 脱脂粉乳は、牛乳をそのまま乾燥したものである。
2 クリームに含まれる乳脂肪分は、80.0%以上でなければならない。
3 プロセスチーズは、ナチュラルチーズを粉砕し、加熱融解し、乳化したものである。
4 練乳は、チーズをとった残りの乳清を乾燥粉末化したものである。
正解:3
解説:脂肪分を除いたものは「脱脂」と呼び、脂肪分をそのまま残すと「全脂」と呼びます。クリームは、脂肪分約25%、水分約65%。に調整されたものを指します。乳脂肪分が80.0%以上も含まれているものは、バターのように固体になると考えておくとよいでしょう。練乳は、牛乳を濃縮したものです。チーズ製造時に出る乳清(ホエー)は栄養価が高いため、乾燥してホエーパウダーとして使用されます。
問46:次のチョコレートに関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1 チョコレートの主な原料は、カカオ豆である。
2 ココアバターは、可塑性範囲が広い。
3 準チョコレートは、純チョコレートよりテンパリング操作が行いやすい。
4 シュガーブルームとは、砂糖がチョコレートの表面に浮いて固結した状態をいう。
正解:2
解説:可塑性範囲とは、熱の変化により固体から液体へ変化する温度帯を言います。ココアバターの場合、可塑性範囲は33~35℃となり、温度の幅が2℃しかありません。
問47:次の果実類のうち、準仁果類に分類されるものを1つ選びなさい。
1 イチゴ
2 モモ
3 クルミ
4 ミカン
正解:4
解説:果実の分類として、仁果類・準仁果類・漿果類・核果類・種実類(堅果類)・熱帯果物類・果菜類があります。このうち準仁果類は、柑橘類(みかん、レモン、オレンジ、グレープフルーツ)を指します。
問48:次の記述にあてはまる果実加工品として、最も適切なものを1つ選びなさい。
濃厚糖液中に果実そのままか、または果実の切片を入れて煮詰めたジャム類の一種で、果実の形が保たれているもの。
1 プレザーブ
2 コンポート
3 マーマレード
4 ドライフルーツ
正解:1
解説:コンポートは、果肉組織をシロップ漬けにしたものです。マーマレードは、ジャムですが原料が柑橘系で果皮が含まれているものを指します。ドライフルーツは、果肉の水分を取り除き栄養価を高めた乾燥食品です。
問49:次の凝固剤に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1 ゼラチンの原料は、テングサなどの紅藻類である。
2 寒天は、果汁などの酸を加えて加熱すると固まりにくくなる。
3 カラギーナンは、糖度が高いほどゲル化温度が高くなる。
4 ペクチンは、果実などの植物に含まれる多糖類である。
正解:1
解説:ゼラチンは、板状・粒状・粉状のものがあります。ゼラチンの主成分はたんぱく質で、原料は牛、豚、鯨、うさぎなどの真皮や結合組織中の繊維状たんぱく質コラーゲン及び骨に含まれるオセインを分解、精製して作られます。テングサは海藻の紅藻類で、寒天の原料となります。
問50:次の種実類に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1 ココナッツの主成分は、でんぷんである。
2 アーモンドには、ビターとスイートの2種類がある。
3 ピーナッツは、殻付きのまま炒って食されるほか、広く製菓材料に用いられている。
4 ピスタチオは、ナッツの女王といわれ、アイスクリームなどに利用される。
正解:1
解説:種実類のうち、でん粉が主成分となるものは、栗(チェスナッツ・マロン)です。ココナッツの主成分は、脂質になります。
問51:次のうち、一般的にさとうきびを原料とする蒸留酒を1つ選びなさい。
1 ワイン
2 ラム酒
3 ブランデー
4 ウイスキー
正解:2
解説:ワインは、果実を原料とし醸造酒に分類されます。ブランデーは、果実を原料とし蒸留酒に分類されます。ウイスキーは、穀類(主に麦、とうもろこし)を原料とし蒸留酒に分類されます。また醸造酒に比べて蒸留酒の方がアルコール度数が高くなることも特徴として把握しておくとよいでしょう。
問52:次のうち、辛味性香辛料を1つ選びなさい。
1 ナツメグ
2 パセリ
3 ジンジャー
4 シナモン
正解:3
解説:辛味性香辛料は、ジンジャー、レッドペッパー、わさびなどになります。それ以外の香辛料は、芳香性香辛料となります。
問53:次の香料に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1 香料は、一般的に複数種を混合して調合香料として使用される。
2 水溶性香料は、揮発しやすいため、高温で加熱するものには使用しにくい。
3 粉末香料は、そのままでは強いにおいを感じるが、水に溶かすとにおいが弱くなる。
4 乳化性香料は、乳化することで揮発性が防止され、濃厚で安定している。
正解:3
解説:粉末香料は、そのままではほとんどにおいを感じないが、水に溶かすと強くにおいを感じます。またタブレット型香料も同様の特徴を持っています。
問54:次の補助材料に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1 膨脹剤は、ガスを発生させることで生地を膨張させる。
2 イスパタは、蒸し菓子などによく利用される。
3 塩化アンモニウムは、炭酸水素ナトリウムと併用すると、ガス発生が100℃まで持続する。
4 炭酸水素ナトリウムのみを使用すると、生地に特有の甘みが残りやすい。
正解:4
解説:炭酸水素ナトリウム(重曹)は、加熱後生地に特有の苦みや臭いを残します。それを改善するため改良された膨張剤が、ベーキングパウダーになります。ベーキングパウダーは炭酸水素ナトリウムに酸性剤・緩和剤を加えてつくられます。
問55:次の製パンに用いる材料に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1 パン酵母は、パン生地に含まれる糖質を分解して炭酸ガスを発生させ、生地を膨張させる。
2 パン酵母による発酵が最も促進されるのは、食塩を生地の10%程度加えたときである。
3 イーストフードは、パン容積の増大や、風味の改善などを目的に使用される。
4 モルトエキスは、発芽させた大麦を糖化、ろ過、加熱、濃縮したものである。
正解:2
解説:食塩は、パン酵母の発酵を抑制して作業コントロールが出来ます。しかし、1~2%以上で酵母発酵を阻害することもあります。
以上が、令和2度に三重県で実施された製菓衛生師試験の製菓理論に関する解説となります。実際の試験問題は、三重県のHPで公開されています。(以下にリンク有)
製菓理論は、製菓衛生師として一番重要な科目となります。そのため出題数も一番多くなります。この科目で点数を稼がないと合格は遠のいてしまうので注意しましょう。製菓理論では、主に製菓・製パンで使用されている材料を中心に出題されます。製菓で必須の食材は、卵・小麦粉・砂糖・乳・油脂となります。この食材を中心に特徴を理解し、実技のところで製法とリンクさせると理解しやすいと思います。
製菓衛生師試験の対策は、過去問題を繰り返し解いていき、出題頻度の高い部分を把握しておくと、ある程度対処できると思います。三重県で実施される製菓衛生師試験を受験される方たちに少しでも活用できればと思います。
以下のリンクは、試験対策に活用できるかと思います。
【三重県HPより】
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