製菓衛生師という資格について考えてみた件

お菓子づくりに製菓衛生師の知識があれば、もっと楽しくなる!!

令和元年度(平成31年度) 製菓衛生師試験 製菓理論 解説 【関西広域連合】

ここでは、令和元年度(平成31年度)に関西広域連合より実施された製菓衛生師試験について、科目別に私なりの見解で解説をしていきます。

今回は、製菓理論をみていきます。

よろしければ、令和4年度の製菓衛生師試験勉強のお役に立てればと思います。

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【製菓理論】

問37:でん粉に関する記述について、誤っているものを一つ選べ。

 1 じゃがいも、タピオカは地下でん粉であり、小麦、とうもろこしは地上でん粉である。

 2 粳米の膨化力は、糯米の膨化力に比べきわめて大きい。

 3 加熱し、糊化したアルファでん粉がベータでん粉になることを老化という。

 4 アミロースは、ブドウ糖分子が直鎖状につながったものである。

正解:2

解説:2について、でん粉の膨化力は「糯」が付いている穀物は、アミロペクチンが約100%となるため大きくなります。

 

問38:鶏卵に関する記述について、誤っているものを一つ選べ。

 1 約50℃までの卵白は、温度が高いほど起泡性は良いが、泡の安定性は悪くなる。

 2 鶏卵は殻つきであれば、品質は低下しない。

 3 卵黄の脂質と卵黄固形物のたんぱく質が結合し、リポたんぱく質になっている。

 4 卵白のたんぱく質溶液は、空気との界面(接している面)で凝固する性質がある。

正解:2

解説:2について、鶏が産卵した直後から玉子の品質は低下していきます。

 

問39:小麦粉に関する記述について、正しいものを一つ選べ。

 1 小麦粉のたんぱく質の20%は、グルテニン及びグリアジンで占めている。

 2 小麦粒の約15%を胚乳が占めている。

 3 小麦粉の品位別分類とは胚乳純度による分類であり、たんぱく質含量によって分けられている。

 4 薄力粉は、小麦を粉砕、ふるい分けして、皮部と胚芽部を取り去り、内部の胚乳部を集めたものである。

正解:4

解説:1について、小麦粉のたんぱく質はグルテニン、グリアジンが主成分で80%を占めています。2について、小麦粒の約83%が胚乳で、約15%が表皮、約2%が胚芽になります。3について、品位別分類は胚乳純度による分類で、用途別分類はたんぱく質含量の違いにより分類されています。

 

問40:米粉について、その処理方法、原料米及び米粉の名称の組合せとして、正しいものを一つ選べ。

 【米粉】→【A】→【C】→【白玉粉

 【米粉】→【A】→【D】→【上新粉

 【米粉】→【B】→【C】→【上早粉】

 【米粉】→【B】→【D】→【早並粉】

     A        B       C     D

 1 糊化したもの ― 生のまま   ― 粳米 ― 糯米

 2 糊化したもの ― 生のまま   ― 糯米 ― 粳米

 3 生のまま   ― 糊化したもの ― 糯米 ― 粳米

 4 生のまま   ― 糊化したもの ― 粳米 ― 糯米

正解:3

解説:糊化したものと、生のまま(糊化していない)の違いから確認していくとよいでしょう。

 

問41:糖類に関する記述について、誤っているものを一つ選べ。

 1 ショ糖に酸を加えたり、酵素を作用させると、等量のブドウ糖デキストリンが生じる。

 2 黒砂糖は、含蜜糖の代表製品で、別名大島糖ともいわれる。

 3 砂糖は、精製工程の少ないものほど、味が濃厚で複雑になる。

 4 和三盆糖は、お盆の上で3回揉むことからこの名前が付いた。

正解:1

解説:ショ糖ではなく、でん粉になります。これらを総称して「でん粉糖」といいます。

 

問42:でん粉糖に関する記述について、正しいものを一つ選べ。

 1 麦芽水飴は、異性化酵素ブドウ糖の一部を果糖に変えた、ブドウ糖と果糖の混合液糖のことである。

 2 水飴の甘味度は、砂糖と同等である。

 3 ブドウ糖は、多糖類で色づきにくく、白餡や白羊羹など白く仕上げたい製品にむく。

 4 でん粉糖の糖化の程度を表す世界共通の指標として、DE(Dextrose Equivalent)が用いられる。

正解:4

解説:1について、異性化糖液の説明です。2について、水あめは、砂糖の半分以下の甘味です。3について、ブドウ糖は単糖類になります。またメイラード反応が出やすいため白く仕上げたい製品には向きません。

 

問43:甘味料に関する記述について、誤っているものを一つ選べ。

 1 アスパルテームは、ショ糖の約50%の甘みである。

 2 メープルシュガーは、砂糖楓の樹液を煮詰めたもので、カナダ東部からアメリカ東部にかけて生産される。

 3 蜂蜜は、ミツバチが花の蜜を集めて熟成させた濃厚糖液であり、主成分はブドウ糖と果糖である。

 4 和三盆糖は、ショ糖を主成分とし、転化糖や灰分が含まれている。

正解:1

解説:アスパルテームは、人工甘味料でショ糖に対して約180~900倍の甘味があります。

 

問44:鶏卵に関する記述について、正しいものを一つ選べ。

 1 卵白は加熱により、62~65℃で完全に凝固する。

 2 バターケーキ類の配合原料が均一分散するのは、卵の熱凝固性が大きな役割を果たしている。

 3 乾燥卵白の水和液は、ある程度の起泡性を示すが、乾燥全卵の水和液は、ほとんど起泡性を示さない。

 4 卵黄固形物の約90%は脂質である。

正解:3

解説:1について、卵白は58℃から凝固が始まり70℃でほぼ完全に凝固します。また卵黄は65~70℃で完全に凝固します。2について、熱凝固性ではなく乳化です。4について、卵黄は資質が多く固形物の約63%を占めています。

 

問45:香料及び香辛料に関する記述について、誤っているものを一つ選べ。

 1 オールスパイスナツメグ及びシナモンは、芳香性香辛料である。

 2 油性香料は耐熱性が低いので、高熱処理する菓子の製造には向いていない。

 3 ジンジャー及びわさびは、辛味性香辛料である。

 4 水溶性香料は揮発性があり、加熱処理するものに使用するには、加熱後粗熱をとってから添加することが必要である。

正解:2

解説:油性香料と水溶性香料の違いを把握すること、油性香料は耐熱性です。

 

問46:バターに関する記述について、正しいものを一つ選べ。

 1 変敗を促進させる要因として、高温、太陽光線及び砂糖がある。

 2 主要成分は脂肪分が約25%、水分が約65%である。

 3 クリームを乳酸発酵させ、攪拌(チャーン)を経ると発酵バターができる。

 4 牛乳にレンネットという酵素を加え、熟成させて作る。

正解:3

解説:1について、油脂の変敗を促進させる要素は、熱、紫外線、金属です。2について、バターの主要成分は脂肪分が約85%、水分が約15%です。4について、この製法でできるのはチーズです。

 

問47:牛乳に関する記述について、誤っているものを一つ選べ。

 1 乳たんぱくの主なものは、カゼインである。

 2 カゼインは、酸を加えると白色の沈殿を生じる。

 3 乳糖は、ブドウ糖と果糖からなり、水に溶けやすい。

 4 牛乳は、その成分や細菌数などについて、食品衛生法に基づき、一定の規格が定められている。

正解:3

解説:乳糖は、ブドウ糖ガラクトースからなり水に溶けにくいです。

 

問48:油脂に関する記述について、正しいものを一つ選べ。

 1 ショートニングには、全水添型、ブレンド型及び乳化型がある。

 2 ラードは、ショートニングよりも変敗しにくく、洋菓子では、練り込み用油脂として使用されている。

 3 マーガリンは、バターの代替品としてアメリカで開発された。

 4 油脂が気泡を抱き込む性質を油脂のショートニング性という。

正解:1

解説:2について、ラードは豚の脂肪で変敗しやすいです。また製菓ではほとんど使用しません。3について、逆ですバターの代替品がマーガリンです。またフランスで開発されました。4について、クリーミング性の説明です。

 

問49:凝固材料に関する記述について、誤っているものを一つ選べ。

 1 カラギーナンは、テングサやオゴノリから抽出されたものである。

 2 高メトキシルペクチン(HMP)をゲル化させるためには、一定濃度の糖と酸が必要である。

 3 寒天の主成分は、アガロース及びアガロペクチンである。

 4 ゼラチンのゲル強度は、寒天より弱い。

正解:1

解説:カラギーナンは、スギノリ、ツノマタから抽出されます。テングサ、オゴノリから抽出されるのは寒天になります。

 

問50:膨脹剤に関する記述について、正しいものを一つ選べ。

 1 イスパタは、ガス発生基剤に酸性剤及び緩和剤を加えて混合したものである。

 2 炭酸水素ナトリウム(重曹)は、炭酸ガスを発生した後、強い酸性を示し、製品は白く仕上がる。

 3 ベーキングパウダーは、炭酸水素ナトリウムと塩化アンモニウムを混ぜたアンモニア系合成膨脹剤である。

 4 炭酸水素アンモニウムは、80℃までに75%くらいのガスが発生する。

正解:4

解説:1について、ベーキングパウダーの説明です。2について、重曹は加熱されると強いアルカリ性を示し、生地が黄色く変色します。3について、イスパタの説明です。

 

問51:酒類に関する記述について、正しいものを一つ選べ。

 1 ブランデーは、ワインをベースにした混成酒である。

 2 キルシュワッサーは、果実を原料にした醸造酒である。

 3 ワインは果実を絞り、発酵させた蒸留酒である。

 4 ラム酒は、サトウキビの糖蜜や搾り汁を原料にして発酵させた蒸留酒である。

正解:4

解説:1について、ブランデーは果実を原料とした蒸留酒です。2について、キルシュワッサーは、果実を原料とした蒸留酒です。3について、ワインは醸造酒です。

 

問52:チョコレートに関する記述について、正しいものを一つ選べ。

 1 純チョコレートは、テンパリングを行わなくても、型流しやコーティング用に使用できる。

 2 ファットブルームとは、砂糖がチョコレートの表面に浮いて固まったものである。

 3 ココアパウダーは、カカオマスを加熱したカカオペーストを圧搾して、カカオバターを一部除去したココアケーキを粉砕したものである。

 4 口に入れるとすぐ溶けるのは、カカオバターの可塑性範囲が広いからである。

正解:3

解説:1について、テンパリングを行わなくても使用できるのは準チョコレートになります。2について、これはシュガーブルームのことです。ファットブルームは、チョコレートの脂肪分(カカオバター)が表面に浮き出た現象を指します。4について、カカオバターの可塑性範囲は、33~35℃と狭いです。

 

問53:仁果類に分類される果実について、誤っているものを一つ選べ。

 1 りんご

 2 びわ

 3 梨

 4 みかん

正解:4

解説:仁果類は、りんご、なし、びわ等になります。

 

問54:種実類に関する記述について、誤っているものを一つ選べ。

 1 くるみは、リノール酸リノレン酸含有率が高く、日本産には姫ぐるみ、鬼ぐるみなどがある。

 2 くりは、でん粉を多く含むのが特徴で、日本には200 種余りの栽培品種がある。

 3 ココナッツの未熟果の部分は、細切りしてから乾燥させ、製菓に用いる。

 4 種実類に含まれる脂質には、不飽和脂肪酸が多く、変敗しやすい。

正解:3

解説:ココナッツは、未熟果はココナッツミルクとして使用されます。完熟した実は、細切り乾燥して製菓用に使用されます。

 

 以上が、令和元年度(平成31年度)に関西広域連合で実施された製菓衛生師試験の製菓理論に関する解説となります。実際の試験問題は、関西広域連合のHPで公開されています。(リンクは下です。)

 製菓理論は、製菓で使用する食材についてそれぞれの特有な性質を理解しているか問われる内容となっています。お菓子を作る作業は、使用する材料の性質を理解し、他の材料と合わせたり、加熱したりしていきます。料理と違って材料が限定されている分、その食材の仕組みを知っていることは非常に大切です。そういったこともあり、製菓理論の勉強では、まず製菓実技とリンクして考えることが大切です。その次に栄養学や食品学とリンクして考えるように取り組んでいくとよいと思います。

 この試験の対策は、過去問題を繰り返し解いていくことで、出題頻度の高い部分を把握することで、ある程度対処できると思います。令和4年度の関西広域連合で実施される製菓衛生師試験を受験される方たちに少しでも助けになればと思います。

以下のリンクは、試験対策に活用できるかと思います。

関西広域連合HPより】

令和元年度(平成31年度)製菓衛生師試験問題【関西広域連合】(pdf:404.7KB)

令和元年度(平成31年度)製菓衛生師試験解答【関西広域連合】(pdf:18.9KB)

 

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