製菓衛生師という資格について考えてみた件

お菓子づくりに製菓衛生師の知識があれば、もっと楽しくなる!!

小麦の栄養と機能性とは?|小麦の種類と特徴とは?|食品学・製菓衛生師試験

※This page uses affiliate advertising.

※本ページは、アフィリエイト広告を利用しています。

Amazon.co.jp: Amazon Prime

Amazon.co.jp: Prime Student - 学生のためのお得なプログラム

Kindle Unlimitedにサインアップして無料体験に登録する

Amazon.co.jp: Amazon Music Unlimited

Amazon.co.jp: Audibleオーディオブック

小麦の栄養と機能性とは?|小麦の種類と特徴とは?

 

|はじめに

 小麦は、世界中で広く栽培されている穀物の一つです。小麦には、さまざまな種類や特徴がありますが、どのように分類されるのでしょうか?また、小麦にはどのような栄養や機能性があるのでしょうか?この記事では、食品学や製菓衛生師試験に役立つ小麦の基礎知識を紹介します。

 

 

1.小麦の歴史

 小麦は、人類の歴史を形作ってきた重要な作物です。

 紀元前1万年頃から、中東の肥沃な三日月地帯で栽培が始まりました。その後、エジプト、ギリシャ、ローマなどの古代文明でパンやビールなどの食品や飲料に利用され、中世にはヨーロッパやアジアに広がり、農業や貿易の発展に寄与しました。近代に入ると品種改良や機械化により生産性が向上し、現代では世界中で最も消費される穀物の一つとなっています。

 

①小麦の世界的な生産量

 小麦は、世界の穀物生産量の約20%を占める重要な作物で、パンやパスタなどの食品に加工されるほか、家畜の飼料としても利用されます。

 小麦の生産量は、近年増加傾向にあります。これは、人口の増加や所得の向上に伴う消費量の増加、気候変動や病害虫の影響を軽減するための品種改良や栽培管理の進歩などが要因として挙げられます。小麦の生産量は、今後もさらに増加すると予測されているため、水資源の枯渇や土壌劣化、気候変動などの課題があります。小麦の持続可能な生産と利用に向けて、科学的な知識と技術が求められています。

 小麦の主な生産国は、中国、インド、ロシア、アメリカ、フランスなどです。小麦の生産量は、気候や土壌、品種、栽培方法などによって大きく変化しますが、一般的に温帯や亜寒帯の乾燥した地域でよく育ちます。これらの国では、小麦の需要が高く、農業技術も発達しています。

 

②日本の小麦の消費量

 日本の小麦の消費量は、戦後から増加傾向にあり、近年は年間約580万トンに達しています。

 日本の小麦の消費量は、主にパンや麺類の消費量の増加に伴って増加してきました。パンの消費量は、1960年代から急速に増加し、現在では国民1人あたり年間約30kgを消費しています。麺類の消費量も、近年は増加傾向にあり、現在では国民1人あたり年間約50kgを消費しています。

 日本の小麦の消費量は、1990年代までは、輸入小麦と国産小麦がほぼ同量でしたが、近年は輸入小麦の割合が増加傾向にあります。2022年度の日本の小麦の消費量のうち、輸入小麦の割合は約90%に達しています。

 日本の小麦の輸入先は、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどが主です。アメリカは、日本の小麦輸入量の約6割を占めています。カナダは、強力粉の輸入先として重要な役割を果たしています。オーストラリアは、軟質小麦の輸入先として重要な役割を果たしています。

 

 

2.小麦の栄養

 小麦は多くの栄養素を提供する穀物です。しかし、小麦にはグルテンというタンパク質も含まれており、これに対してアレルギーや不耐性を持つ人もいます。そのため、小麦を摂取する際には、自分の体質や健康状態に合わせて適量を調整することが大切です。

 

【小麦に含まれる主な栄養素】

①炭水化物

 小麦に含まれる炭水化物は、主にデンプンで、植物の細胞壁に含まれる糖質で、消化されるとブドウ糖になります。ブドウ糖は、私たちの体のエネルギー源として重要な役割を果たします。

 小麦のデンプンは、アミロペクチンアミロースの2種類から構成されていて、アミロペクチンは、アミロースよりも分子量が大きく、粘り気や弾力を生み出す働きがあります。アミロースは、アミロペクチンよりも分子量が小さく、水に溶けやすい性質があります。

 小麦の炭水化物の含有量は、品種や栽培地域によって異なりますが、一般的に約70%です。

 

たんぱく質

 小麦に含まれるたんぱく質は、主にグルテンです。グルテンは、小麦粉を水でこねるとできる粘り気や弾力を生み出す成分です。グルテンは、2種類のタンパク質から構成されています。

・グルテニン:粘り気や弾力を生み出す働きがある

・グリアジン:粘り気や弾力を生み出す働きがある

 小麦のたんぱく質の含有量は、品種や栽培地域によって異なりますが、一般的に約10%で、小麦の栄養素の中で、炭水化物に次いで多く含まれる栄養素です。

 

③脂質

 小麦に含まれる脂質は、主に不飽和脂肪酸です。不飽和脂肪酸は、体に良い脂質として知られています。

リノール酸:必須脂肪酸のひとつで、血液中のコレステロール値を下げる働きがある

リノレン酸:必須脂肪酸のひとつで、血液中のコレステロール値を下げる働きがある

オレイン酸:オリーブオイルなどに多く含まれる脂肪酸で、血液中のコレステロール値を下げる働きがある

 小麦の脂質の含有量は、品種や栽培地域によって異なりますが、一般的に約1〜2%で、小麦の栄養素の中で、炭水化物、たんぱく質に次いで少なく含まれる栄養素です。

 小麦の脂質は、細胞膜やホルモンの合成、エネルギー源などとして、重要な役割を果たします。リノール酸リノレン酸などの不飽和脂肪酸は、血液中のコレステロール値を下げる働きがあるとされています。

 

④食物繊維

 小麦に含まれる食物繊維は、主にセルロース、ヘミセルロース、リグニンです。

セルロース:水に溶けにくい食物繊維で、腸内環境を整える働きがある

・ヘミセルロース:水に溶けにくい食物繊維で、腸内環境を整える働きがある

・リグニン:水に溶けにくい食物繊維で、腸内環境を整える働きがある

 小麦の食物繊維の含有量は、品種や栽培地域によって異なりますが、一般的に約3〜4%で、小麦の栄養素の中で、炭水化物、たんぱく質、脂質に次いで多く含まれる栄養素です。小麦の食物繊維は、腸内環境を整える働き、血糖値の上昇を抑える働き、コレステロール値を下げる働き、生活習慣病の予防に効果があるとされています。

 

⑤ミネラル

 小麦に含まれるミネラルは、私たちの体のさまざまな働きに欠かせません。

カリウム:体内の水分のバランスを保つ働きがあり、高血圧の予防に効果があるとされています。

・カルシウム:骨や歯の形成に必要な栄養素であり、骨粗しょう症の予防に効果があるとされています。

・鉄:赤血球のヘモグロビンの成分となる栄養素であり、貧血の予防に効果があるとされています。

マグネシウム:筋肉の働きや神経の働きに必要な栄養素であり、疲労回復に効果があるとされています。

亜鉛:免疫機能の維持に必要な栄養素であり、風邪などの感染症の予防に効果があるとされています。

 

⑥ビタミン

 小麦に含まれるビタミンは、私たちの体のさまざまな働きに欠かせません。

ビタミンB1:糖質の代謝に必要な栄養素であり、疲労回復に効果があるとされています。

ビタミンB2:糖質、たんぱく質、脂質の代謝に必要な栄養素であり、皮膚や粘膜の健康維持に効果があるとされています。

・ビタミンB6:たんぱく質代謝に必要な栄養素であり、神経や筋肉の働きを正常に保つ働きがあるとされています。

・ビタミンE:抗酸化作用のある栄養素であり、細胞の老化を防ぐ働きがあるとされています。

 

 

3.小麦の機能性

 小麦の機能性とは、小麦の成分が人体に及ぼす効果や働きのことを指します。小麦の機能性には、栄養素や食物繊維、抗酸化物質などが含まれます。小麦の機能性を学ぶことで、小麦の健康効果や食品加工技術の向上につながる可能性があります。

 

小麦には、以下のような機能性が報告されています。

①腸内環境の改善

 小麦に含まれる食物繊維は、腸内環境を整える働きがあります。食物繊維は、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす働きがあり、腸内を刺激して蠕動運動を促進する働きもあります。

 

②血糖値の上昇を抑える

 小麦に含まれる食物繊維は、血糖値の上昇を抑える働きがあります。食物繊維は、消化吸収を遅らせる働きがあり、食後の血糖値の上昇を抑えることができます。

 

コレステロール値を下げる

 小麦に含まれる食物繊維は、コレステロール値を下げる働きがあります。食物繊維は、コレステロールの吸収を抑える働きがあり、コレステロールの排出を促進する働きもあります。

 

④抗酸化作用

 小麦に含まれるポリフェノールは、抗酸化作用があります。ポリフェノールは、活性酸素を除去する働きがあり、活性酸素は細胞の老化や病気の原因となる物質です。

 

 これらの機能性により、小麦は、健康的な食生活をサポートする食材として注目されています。次に、小麦の機能性を高める方法を見てみましょう。

 小麦の機能性を高めるためには、全粒粉製品を利用する方法が効果的です。全粒粉は、小麦の表皮、胚乳、胚芽のすべてを含む粉で、白米と比べて食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素が豊富に含まれています。また、小麦に含まれる機能性を高めるためには、小麦製品を加工する際に、加熱や精製をできるだけ少なくする方法も効果的です。加熱や精製をすると、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素が失われやすくなるので注意しましょう。

 

 

4.小麦の種類と特徴

 小麦には、主に二つの種類があります。一つは、春に播種して秋に収穫する春小麦で、もう一つは、秋に播種して翌年の春に収穫する冬小麦です。春小麦は、寒さに弱く、短期間で成熟するため、高温多湿な地域で栽培されます。冬小麦は、寒さに強く、長期間で成熟するため、寒冷乾燥な地域で栽培されます。小麦の特徴は、品種や栽培条件によって異なりますが、一般的には、タンパク質含量やグルテンの強さが重要な指標となります。

 

①小麦の植物学的な分類

 小麦は、植物学的には、イネ科(Poaceae)コムギ属(Triticum)に属する植物です。コムギ属には、約40種の植物が知られていますが、そのうちで、栽培されている小麦は、主に以下の4つの系統に分類されます。

 

・一粒系(einkorn)

 一粒系は、小麦の最も原始的な系統です。粒は1粒で、胚乳が大きく、たんぱく質含有量が高いのが特徴です。主に、中東や地中海沿岸地域で栽培されています。

 

・二粒系(emmer)

 二粒系は、一粒系から進化した系統です。粒は1粒または2粒で、胚乳が大きく、たんぱく質含有量が高いのが特徴です。主に、中東や地中海沿岸地域で栽培されています。

 

・普通系(bread wheat)

 普通系は、二粒系からさらに進化した系統です。粒は1粒または2粒で、胚乳が大きく、たんぱく質含有量が高く、粘りが強いのが特徴です。パンや麺類などの主な原料として利用されています。

 

・デュラム系(durum wheat)

 デュラム系は、普通系からさらに進化した系統です。粒は1粒で、胚乳が大きく、たんぱく質含有量が高く、粘りが強いのが特徴です。パスタなどの主な原料として利用されています。



②小麦粒の構造(胚乳、表皮、胚芽)

 小麦粒は、胚乳、表皮、胚芽の3つの部分から構成されています。

 

・胚乳

 胚乳は、小麦粒の大部分を占める部分で、主に炭水化物(デンプン)とたんぱく質から構成されています。炭水化物は小麦粒のエネルギー源として、たんぱく質はパンや麺類などの生地の粘りや弾力を生み出すために重要な役割を果たします。

 

・表皮

 表皮は、小麦粒の外側を覆う部分で、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素を多く含んでいます。食物繊維は腸内環境を整える働きや、血糖値の上昇を抑える働きがあるとされています。ビタミンやミネラルは、私たちの体のさまざまな働きに欠かせない栄養素です。

 

・胚芽

 胚芽は、小麦粒の中心にある部分で、脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素を多く含んでいます。脂質はエネルギー源として、ビタミンやミネラルは、私たちの体のさまざまな働きに欠かせない栄養素です。

 

③小麦粉の種類(強力粉、中力粉、薄力粉など)

 小麦粉の種類とは、小麦の品種や製粉方法によって異なる粉のことです。小麦粉には、主に強力粉、中力粉、薄力粉の3種類があります。

 

・強力粉

 強力粉は、たんぱく質含有量が12〜15%程度と高い粉です。粘りがあり、弾力性に富んでいるため、パンや餃子の皮、うどんなどの生地に適しています。

 

・中力粉

 中力粉は、たんぱく質含有量が9〜11%程度の粉です。強力粉と薄力粉の中間的な性質を持ち、パンやうどん、ケーキなどの生地に適しています。

 

・薄力粉

 薄力粉は、たんぱく質含有量が7〜9%程度の粉です。粘りが少なく、ふんわりとした生地に仕上がります。ケーキやクッキー、カステラなどの生地に適しています。

 

④小麦粉の品質

 小麦粉の品質は、たんぱく質含有量のほか、グルテンの質や粘り、色、香りなどの要素によって評価されます。

 

たんぱく質含有量

 たんぱく質含有量は、小麦粉の粘りや弾力性に影響を与えます。たんぱく質含有量が高いほど、粘りがあり、弾力性に富んだ生地になります。

 

グルテンの質

 グルテンは、たんぱく質の一種で、小麦粉の粘りや弾力性を生み出す重要な役割を果たします。グルテンの質が良く、しっかりとしたグルテンが形成されると、粘りがあり、弾力性に富んだ生地になります。

 

・粘り

 粘りは、生地が伸びて戻る力を表します。粘りが高いほど、生地が伸びやすく、弾力性に富んだ生地になります。

 

・色

 小麦粉の色は、小麦の品種や栽培地域によって異なります。色が濃いほど、タンニンやクロロフィルなどの色素を多く含んでいます。

 

・香り

 小麦粉の香りは、小麦の品種や栽培地域によって異なります。香りが豊かなほど、小麦本来の風味を楽しむことができます。

 

 

|おわりに

 以上、小麦について知っておきたいことを解説しました。

 小麦は、私たちの食生活に欠かせない穀物です。小麦には、炭水化物、たんぱく質、脂質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が豊富に含まれています。また、小麦には、腸内環境の改善、血糖値の上昇を抑える、コレステロール値を下げる、抗酸化作用などの機能性が報告されています。

 小麦は、品種や栽培地域によって、その特徴や利用法が異なります。小麦の植物学的な分類を理解することで、小麦の特徴や利用法について理解を深めることができます。また、小麦粉の種類とその用途や品質を理解することで、料理やお菓子作りに役立てることができます。

 小麦は、私たちの健康的な食生活をサポートする食材として、ますます注目されています。小麦の栄養や機能性、種類や特徴を理解して、上手に活用しましょう。

 

 

seika-riron.hatenablog.com

seika-riron.hatenablog.com

seika-riron.hatenablog.com

seika-riron.hatenablog.com

seika-riron.hatenablog.com

seika-riron.hatenablog.com