ここでは、令和3年度に実施された東京都の製菓衛生師試験について、科目別に私なりの見解で解説をしていきます。
ここでは、「公衆衛生学」を解説していきます。
よろしければ、製菓衛生師試験勉強のお役に立てれば幸いです。
【東京都の製菓衛生師試験状況はコチラから確認できます。】
www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp
【公衆衛生学】
問6:世界保健機関(WHO)憲章にある健康の定義で、( )の中に入る語句として、正しいものを次の中から選びなさい。
健康の定義は、「肉体的に、精神的に、( )に完全に良好であり、単に病気がない、または虚弱でないということではない」とされている。
1 経済的
2 社会的
3 医療的
4 衛生的
正解:2
解説:世界保健機関(World Health Organization)は、1948年4月7日に設立された国際連動機関の一つで、人間の健康を基本的人権の一つと捉え、その達成を目的として設立された機関です。本部は、スイスのジュネーヴです。設立日は、世界保健デーとして知られています。WHOが、「健康の定義」を目標として掲げていることは頻出問題ですので確実に覚えておきましょう。
・参考資料:「世界保健機関(Wikipedia)」
問7:日本の人口統計に関する記述で、正しいものを次の中から選びなさい。
1 総人口は、3年に1度実施される国勢調査で明らかにされる。
2 60歳以上の人口が、総人口の30%を超えると超高齢社会という。
3 令和元年の総人口は、前年より減少した。
4 令和元年の合計特殊出生率は、前年より増加した。
正解:3
解説:令和元年(2019年)の日本の総人口は1億2616万7千人で前年に比べて27万6千人減少しています。(9年連続)また、日本人の人口は1億2373万1千人で前年より48万7千人減少しています。
国勢調査では、国内の人口や世帯の実態を明らかにするために、5年ごとに行われています。
超高齢化社会とは、65歳以上の人口の割合が全人口の21%を占めている社会を指します。
合計特殊出生率とは、15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、令和元年の統計では、合計特殊出生率は前年より減少しています。
・参考資料:「人口推移(総務省統計局)」
問8:生活習慣病における二次予防にあてはまるものとして、正しいものを次の中から選びなさい。
1 がん検診
2 禁煙
4 予防接種
正解:1
解説:生活習慣病の二次予防とは、健康診断で健康状態を確認し、疾患の早期発見をすることです。生活習慣病の一次予防は、疾患の発生を未然に防ぐ行為を表します。この一次予防と二次予防を行い、生活習慣病のリスクを下げるという考えです。
問9:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による、二類感染症の原因となる微生物として、正しいものを次の中から選びなさい。
1 腸管出血性大腸菌
2 麻しんウイルス
3 ペスト菌
4 結核菌
正解:4
解説:2類感染症は、「急性灰白髄炎・ポリオ(病原体:ポリオウイルス1~3型)」「結核(病原体:結核菌)」「ジフテリア(病原体:ジフテリア菌)」「重症急性呼吸器症候群・SARS(病原体:SARSコロナウイルス)」「中東呼吸器症候群・MERS(病原体:MERSコロナウイルス)」「鳥インフルエンザ(H5N1)(病原体:A型インフルエンザウイルス(H5N1))」「鳥インフルエンザ(H7N9)(病原体:鳥インフルエンザAウイルス(H7N9))」があります。
・参考資料:「感染症法に基づく医師の届出のお願い(厚生労働省)」
問10:予防接種法で規定する、国民に接種を勧奨しているA類疾病と、接種が個人の判断によるB類疾病の組み合わせとして、正しいものを次の中から選びなさい。
(A類疾病) (B類疾病)
1 ジフテリア ― 麻しん
2 ヒトパピローマウイルス感染症 ― B型肝炎
3 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) ― 肺炎球菌感染症(高齢者)
4 肺炎球菌感染症(小児) ― インフルエンザ(高齢者)
正解:4
解説:予防接種法において「A類疾病」とは、ジフテリア、百日せき、急性灰白髄炎、麻しん、風しん、日本脳炎、破傷風、結核、Hib感染症、肺炎球菌感染症(小児ががかるもに限定)、ヒトパピローマウイルス感染症です。「B類疾病」は、インフルエンザ、個人または重症化の防止予防に必要とされる疾病の予防接種とされています。
・参考資料:「予防接種法第2条(e-Gov法令検索)」
問11:環境衛生に関する記述で、誤っているものを次の中から選びなさい。
1 全国の下水道処理人口普及率は、令和元年度末において9割を超えている。
2 水道法に基づく水道水の水質基準で検出されないことと定められている項目は、大腸菌のみである。
3 受水槽の管理は、水道業者ではなく設置者が行う。
4 生活排水のうち、し尿は浄化槽法で浄化処理が義務づけられている。
正解:1
解説:農林水産省、国土交通省、環境省の2省は、合同で汚水処理人口普及率を調査されています。汚水処理人口普及率は、各省が所管する「農業集落排水施設等」「下水道」「浄化槽」「コミュニティ・プラント」の普及状況を合同で調査し、総人口に対する割合で表した統一的な指標です。令和元年度時点での汚水処理人口普及率は、91.7%であり、そのうち下水道によるものは79.7%となっています。
水道法では、「水道水質基準」が設定されており、「検出されないこと」とされている項目は「大腸菌」のみと設定されています。
受水槽とは、水道水を貯めておく設備のことを指し、多くの水を使用する施設や建物に設置されています。受水槽の管理は、建物の管理者が行うこととされています。
浄化槽法では、浄化槽を使う側が行わなければならない法的義務があり、「し尿」も含まれています。
・参考資料:「令和元年度末の汚水処理人口普及率(農林水産省)」
問12:環境汚染に関する事項及びその原因物質の組み合わせとして、誤っているものを次の中から選びなさい。
(事項) (原因物質)
2 温室効果 ― フロン
4 酸性雨 ― 二酸化硫黄
正解:3
解説:環境問題として挙げられている事項は、「海洋汚染」「化学物質・有害廃棄物」「オゾン層の破壊・地球温暖化」「生物多様性の減少」「鉱物資源やその他資源の減少」「森林破壊・砂漠化」「酸性雨」があります。このうち「オゾン層破壊」の原因とされているのは、「クロロフルオロカーボン」や「ハロン」といった物質とされています。
・参考資料:「環境問題に迫る!7つの種類を解説(関西電力グループ)」
問13:従業員が10人以上50人未満の小規模事業場において義務付けられているものとして、正しいものを次の中から選びなさい。
1 産業医の選任
2 定期健康診断結果報告書の提出
3 衛生推進者の選任
4 安全衛生委員会の設置
正解:3
解説:職場における衛生管理について、従業員が50人を超えるか否かで体制が変わります。10人以上50人未満の事業場では、「安全衛生推進者」もしくは「衛生推進者」を選任することが義務付けられています。
・参考資料:「労働安全衛生法(e-Gov法令検索)」
問14:保健所が行う業務内容として、誤っているものを次の中から選びなさい。
1 食中毒の調査
2 特別用途食品の検査及び収去
3 食品添加物の指定
4 飲食店営業の許可
正解:3
解説:地域保健法第6条に基づく保健所の業務は、「地域保健に関する思想の普及及び向上に関する事項」「人口動態統計その他地域保健に係る統計に関する事項」「栄養の改善及び食品衛生に関する事項」「住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境の衛生に関する事項」「医事及び薬事に関する事項」「保健師に関する事項」「公共医療事業の向上及び増進に関する事項」「母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項」「歯科保健に関する事項」「精神保健に関する事項」「治療方法が確立していない疾病その他の特殊疾病により長期に療養を必要とする者の保健に関する事項」「エイズ、結核、性病、伝染病その他の疾病の予防に関する事項」「その他地域住民の健康の保持及び増進に関する事項」の14事業と多岐にわたります。
・参考資料:「地域保健法第6条(e-Gov法令検索)」
以上が、令和3年度に東京都で実施された製菓衛生師試験の公衆衛生学の解説です。
衛生法規の出題数について、東京都は例年5問出題されています。
今年度の公衆衛生学は、「WHOの健康の定義」「日本の人口統計」「生活習慣病」「感染症の分類」「予防接種」「環境衛生」「環境汚染」「労働安全衛生法」「保健所」に関する事項が出題されました。
世界保健機関(WHO)の「健康の定義」は虫食い問題として頻出の高い問題です。一文を覚えておくとよいでしょう。
日本の人口統計について、これは国勢調査で人口推移を把握しています。出生率、死亡率、高齢社会、少子化など例年の人口に関する事項は、ニュース等を通じて変化を把握しておきましょう。
生活習慣病について、今回は「二次予防」について問われました。生活習慣病を予防するために「一次予防」と「二次予防」を併用することで予防していく考えがありますが、今回の選択肢を見ると、生活習慣病に該当する疾病を把握しておけば解ける問題と感じました。
感染症に関する問題として、感染症の分類は頻出問題となります。食中毒関連の感染症は、「3類感染症」になります。1類感染症、2類感染症に関しては、重症化する危険性の高いものばかりなので、区別をして把握しておくとよいでしょう。
予防接種に関する問題では、A種とB種に分類されていることを知っておきましょう。違いは、問題解説に記載しています。
環境衛生に関する事項は、主に水道法に関する問題が頻出となるので、上水道と下水道の仕組みと統計を把握しておくとよいでしょう。
近年「SDGs」として環境汚染が注目されています。まずは環境汚染・問題として挙げられているものは時事的な問題も含めて何かを知っておくとよいでしょう。
労働安全衛生法に関する問題では、従業員数によって事業場の義務付けが変わってきます。50名が線引きとなりますが、50名以上の事業場で義務付けられているものを中心に把握しておくとよいと思います。
保健所に関する問題は、業務内容が頻出問題となるので、保健所のお仕事の範囲をしっかり把握しておくとよいでしょう。またその業務に関する取り決めは「地域保健法」により明記されています。
実際の試験問題は、東京都のHPで公開されています。過去問題を繰り返し解いていくことで、出題される問題の傾向が見えてきます。
わたしが解説している過去問題もぜひ参考にしてみてください!
東京都だけでなく他の都府県で実施される製菓衛生師試験を受験される方たちにも少しでも助けになればと思います。
【東京都福祉保健局が公表している過去問題です。】
・令和3年度製菓衛生師試験問題【東京都】(PDF:2,382KB)
・令和3年度製菓衛生師試験正答【東京都】(PDF:44KB)
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