ここでは、令和４度に東京都で実施された製菓衛生師試験について、科目別に私なりの見解で解説をしていきます。
今回は、公衆衛生学をみていきます。
よろしければ、まだ実施されていない令和４年度の製菓衛生師試験勉強や令和５年度の国家試験のお役に立てればと思います。
また令和４年度に実施された製菓衛生師試験について、以下より確認ができます。
●令和4年度東京都製菓衛生師試験の実施について 東京都福祉保健局
●令和４年度東京都製菓衛生師試験合格者受験番号一覧（PDF:105KB）
【公衆衛生学】
問６：地域保健法第６条に規定する保健所が事業を行う事項として、誤っているものを次の中から選びなさい。
１ 地域保健に関する思想の普及及び向上に関する事項
２ 所管区域に係る労働衛生管理に関する事項
３ 公共医療事業の向上及び増進に関する事項
４ 栄養の改善及び食品衛生に関する事項
正解：２
解説：保健所は、地方における公衆衛生の向上および増進を図るため、都道府県、指定都市、中核市、政令都市または特別区が設置することとなっています。保健所の基本業務は、①地域保健に関する思想の普及及び向上に関する事項、②人口動態統計その他地域保健に係る統計に関する事項、③栄養の改善及び食品衛生に関する事項、④住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境の衛生に関する事項、⑤医事及び薬事に関する事項、⑥保健師に関する事項、⑦公共医療事業の向上及び増進に関する事項、⑧母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項、⑨歯科保健に関する事項、⑩精神保健に関する事項、⑪治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により長期に療養を必要とする者の保健に関する事項、⑫エイズ、結核、性病、伝染病その他の疾病の予防に関する事項、⑬衛生上の試験及び検査に関する事項、⑭その他地域住民の健康の保持及び増進に関する事項があり、これらの事項について、企画・調整・指導・必要な事業を行います。また地域保健法とは、平成６年に保健所法が見直され、地域住民一人ひとりの健康の保持および増進を目的として改正されました。
問７：統計調査と調査項目に関する組み合わせとして、正しいものを次の中から選びなさい。
（ 統計 ） （ 調査項目 ）
１ 患者調査 ― 受療率
２ 国民生活基礎調査 ― 生活習慣
３ 人口動態調査 ― 転出入
４ 国民健康・栄養調査 ― 通院者率
正解：１
解説：国民生活基礎調査は、疾病統計調査の中で一部の世帯を選んで行うサンプル調査です。人口動態調査は、人口の変動要因を把握する調査です。国民健康・栄養調査は、生活習慣病が調査項目にあります。また衛生統計とは、公衆衛生施策を展開するにあたって、住民の健康状況を把握し、健康問題や健康影響を与えている要因の実態を明らかにするため、様々な目的に利用しています。主な衛生統計は、①人口統計（人口静態統計、人工動態統計）②保健統計（疾病統計、患者調査等）③その他の調査（栄養及び食糧統計、医療統計、薬事統計、環境衛生・食品衛生関係統計、学校保健関係統計、労働衛生関係統計）があります。
問８：特定健診・特定保健指導に関する記述で、正しいものを次の中から選びなさい。
１ 健康増進法に基づき実施されている。
２ 医療保険者が４０歳から７４歳の被保険者に対して実施している。
３ 特定健診受診者中のメタボリックシンドローム該当者は年々増加している。
４ 特定保健指導の対象者は、メタボリックシンドローム該当者に限られる。
正解：２、３（誤りがあった問題）
解説：特定健診とは、生活習慣病の予防のために、メタボリックシンドロームに着目した健診を行うものです。また特定保健指導とは、生活習慣病の発症リスクが高い方、生活習慣の改善による予防効果が期待できる方に対して、保健師や管理栄養士などがサポートするものです。（厚生労働省より）
問９：ヘルスプロモーションに関する記述で、正しいものを次の中から選びなさい。
１ １９８６年の第１回ヘルスプロモーション会議において、アルマ・アタ宣言が採択された。
２ ヘルスプロモーションとは、住民の主体的な健康づくり活動のことを指す。
３ 飲食店での受動喫煙防止対策はヘルスプロモーション活動の一つである。
４ ヘルスプロモーション活動の基本は感染症対策である。
正解：３
解説：ヘルスプロモーションとは、ＷＨＯ（世界保健機関）が１９８６年のオタワ憲章で提唱し、２００５年にバンコク憲章で再提唱した２１世紀の健康戦略です。ヘルスプロモーションは、「健康な公共政策づくり」「健康を支援する環境づくり」「地域活動強化」「個人技術の開発」「ヘルスサービスの方向転換」を目標実現・発展のため活動しているものです。
問１０：公害に関する記述で、正しいものを次の中から選びなさい。
２ 微小粒子状物質（ＰＭ２．５）の主成分は窒素酸化物である。
３ ダイオキシンは生体内で分解されない。
４ 一般家庭の生活に伴う音は騒音とはならない。
正解：３
解説：イタイイタイ病は、水質汚濁が原因となります。メチル水銀は、水俣病です。PM2.5は大気汚染です。騒音は、工場や鉄道、自動車などだけでなく、一般家庭の騒音（ペットの鳴き声、ピアノ等の音など）も含まれています。
問１１：予防接種法に定められたＡ類疾病であり、定期の予防接種の対象疾病として、正しいものを次の中から選びなさい。
１ 流行性耳下腺炎（おたふくかぜ）
２ 結核
３ インフルエンザ
４ Ａ型肝炎
正解：２
解説：Ａ類疾病は、主に集団予防と重篤な疾患の予防に重点が置かれ、接種に努めるという努力義務のもと国民に接種を勧奨しているものです。Ａ類対象疾病は、ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ、風疹、麻疹、日本脳炎、Ｂ型肝炎、結核、ヒブ、小児肺炎球菌、水痘、ヒトパピローマウイルスです。
問１２：消毒薬とその使用目的の組み合わせとして、正しいものを次の中から選びなさい。
（ 消毒薬 ） （ 使用目的 ）
１ 次亜塩素酸ナトリウム ― 生活環境
２ ポピドンヨード ― 金属器具
３ グルタラール ― 手指皮膚
４ 消毒用エタノール ― 吐物・排泄物
正解：１
解説：ポピドンヨードは、手指皮膚です。グルタラールは、金属器具・非金属器具です。消毒用エタノールは、生活環境・手指皮膚・金属器具・非金属器具と幅広いです。
問１３：職場におけるストレスチェックに関する記述で、誤っているものを次の中から選びなさい。
１ 事業者はストレスチェックを実施する義務がある。
２ 労働安全衛生法に基づいた制度である。
３ ストレスチェックの結果は、労働者本人には通知されない。
４ ストレスチェックは、職場環境の改善につなげる目的がある。
正解：３
解説：ストレスチェックとは、労働安全衛生法第６６条の１０に基づき、特定の事業場で実施を義務付けされている調査です。これは労働者が自分のストレスがどのような状態にあるのかを認知するだけでなく、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぎ、職場の環境改善を目的としています。
問１４：腸管出血性大腸菌に関する記述で、正しいものを次の中から選びなさい。
１ 腸管出血性大腸菌による食中毒の主な原因は加熱不十分な鶏肉である。
２ 感染者には、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づき、入院の勧告が行われる。
３ 感染者のくしゃみや会話によって飛び散るしぶき（飛沫）による飛沫感染が主な感染経路である。
４ 感染者は、食品を直接取り扱う業務への就業が制限される。
正解：４
解説：腸管出血性大腸菌は、経口感染症の中で、毎年発生している案件の多い感染症です。感染原因とされる食材は主にレバ刺し、ユッケなどの生肉とされています。感染者は、主に調理に従事しないことです。
以上が、令和４度に東京都で実施された製菓衛生師試験の公衆衛生学に関する解説となります。実際の試験問題は、東京都のHPで公開されています。（以下にリンク有）
公衆衛生学は、国民の健康に関する事項を幅広く取り扱う学問です。様々な統計調査を実施し対策を施策している環境衛生関連事項や、生活習慣病や感染症の予防に関する事項、労働衛生に関する事項を把握しておく必要があります。食品衛生学とリンクする部分があるので、合わせて理解できるとよいと思います。
製菓衛生師試験の対策は、過去問題を繰り返し解いていき、出題頻度の高い部分を把握しておくと、ある程度対処できると思います。令和５年度の東京都で実施される製菓衛生師試験を受験される方たちに少しでも助けになればと思います。
以下のリンクは、試験対策に活用できるかと思います。
【東京都ＨＰより】
●令和４年度 東京都製菓衛生師試験・問題（PDF:4,892KB）
●令和４年度 東京都製菓衛生師試験・正答（PDF:50KB）
●令和４年度 東京都製菓衛生師試験・訂正（PDF:123KB）
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