ここでは、令和3度に三重県で実施された製菓衛生師試験について、科目別に私なりの見解で解説をしていきます。
今回は、製菓理論をみていきます。
よろしければ、令和4年度の製菓衛生師試験勉強のお役に立てればと思います。
また令和4年度に実施される製菓衛生師試験について、新型コロナウイルス感染症対策に関しては以下より確認ができます。
【製菓理論】
問37:次の砂糖に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1 ショ糖に、酸を加えて加熱したり酵素を作用させたりすると、転化糖が生じる。
2 フォンダンは、一度溶けた砂糖が再び結晶する性質を利用して作られる。
3 砂糖は水に溶けやすく、20℃の水100gに砂糖400gを溶解できる。
4 一般的に、食品中の砂糖濃度が高いほど、防腐性が高い。
正解:3
解説:砂糖の特徴として、溶解性というものがあります。この溶解性は、砂糖は水に溶けやすいということです。水1に対して砂糖は2の量を溶解できます。また水の温度が上昇するにつれて砂糖の溶解できる量が増加します。今回のケースでは、水が20℃と常温水となるため、砂糖は200g溶解できるということになります。
問38:次のうち、サトウカエデの樹液を原料とする甘味料を1つ選びなさい。
1 リコリス
2 アスパルテーム
3 ステビア
4 メープルシュガー
正解:4
解説:リコリス、アスパルテーム、ステビアは、ともに非糖質甘味料になります。この甘味料は、ショ糖を基準に甘味の度合いを確認する問題が出題される傾向があるため合わせて把握しておきましょう。甘味の度合いについて、甘草(リコリス)は、ショ糖の約50倍の甘味、ステビアはショ糖の約300倍の甘味、ソーマチンはショ糖の約2000倍の甘味、アスパルテーム、サッカリンナトリウムはショ糖の約180~900倍の甘味があります。
問39:次の小麦粉に関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 小麦粉は、主に小麦粒の胚芽部からつくられる。
2 強力粉は、薄力粉よりたんぱく質の含有量が多い。
3 小麦粉の等級は、一般的に灰分含量が多いほど高い。
4 小麦粉のたんぱく質は、アルブミン、プロテオーズが主成分である。
正解:2
解説:1について、小麦は表皮、胚乳、胚芽に分けることができ、小麦粉となる部分は白い胚乳部分となります。3について、小麦粉は灰分含有量によって等級が分かれます。灰分含有量が少ないほど白く等級が良くなります。4について、小麦粉のたんぱく質はグルテニン、グリアジンが多くを占めています。またこの量と質によってグルテンの強さが変化します。
問40:次のでんぷんに関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1 でんぷんの老化は、一般的に、水分含有量30~60%、温度0~5℃のときに進みやすい。
2 糊化とは、でんぷんに水を加えて加熱することにより、でんぷんの粒子が膨潤、崩壊し、糊状になることをいう。
3 でんぷんの糊化の始まる温度は、でんぷんの種類によってほとんど差がない。
4 とうもろこしでんぷんは、アミロース含量より、アミロペクチン含量のほうが高い。
正解:3
解説:でん粉の糊化が始まる温度は異なります。例えば、馬鈴薯は55~67℃、トウモロコシは65~76℃、小麦は62~83℃の範囲で糊化が起こります。
問41:次のうち、うるち精白米を水洗いし、乾燥・製粉したものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 上新粉
2 羽二重粉
3 道明寺粉
4 餅粉
正解:1
解説:羽二重粉は糯米を水洗し、十分吸水させ加水しながら破砕して作ります。道明寺粉は糯米を水洗・水漬け・水切り後、蒸したものを乾燥させて砕いて作ります。餅粉は糯米を水洗い、乾燥して水分を10~15%にして製粉します。
問42:次の鶏卵に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい
1 卵白は、温度が高い方が起泡性がよく、泡の安定性もよい。
2 鶏卵を加熱した際、卵白は卵黄よりも低い温度で凝固し始める。
3 卵黄に含まれるレシチンは、強い乳化力を持つ。
4 乾燥卵は、一般的に噴霧乾燥法により作られる。
正解:1
解説:卵白の起泡性について、温度が高くなるほど起泡性が良くなるが安定性は落ちます。逆に温度が低くなると起泡性は落ちますが、安定性は良くなります。卵白の起泡性については、濃厚卵白と水溶性卵白の違いと卵白に含まれているたんぱく質の特性を理解しておくとよいでしょう。
問43:次の油脂に関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 カカオバターは、バターに比べ可塑性範囲が広い。
2 クリーミング性とは、生地の混合工程で油脂が気泡を抱き込む性質のことである。
3 マーガリンは、ラードの代替品として開発されたものである。
4 フライング性とは、クッキーなどをサクサクと軽い口あたりに仕上げる性質のことである。
正解:2
解説:1について、カカオバターの可塑性範囲は32~35℃と非常に狭いです。3について、マーガリンはバターの代替品としてフランスで開発されたものです。4について、ショートニング性のことになります。フライング性は、食材を揚げることで油の風味を付与し美味しくさせる性質を指します。
問44:次の牛乳に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1 牛乳に含まれるたんぱく質のうち、割合が最も多いのはカゼインである。
2 「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」には、牛乳の成分や細菌数などの規格が記載されている。
3 牛乳の主要成分は、水分のほか、脂肪、たんぱく質、乳糖などがある。
4 均質化(ホモジナイズ)とは、微生物を死滅させる工程をいう。
正解:4
解説:牛乳を製造する際に、生乳中にある乳脂肪球の大きさを細かい粒子にする均質化(ホモジナイズ)という工程があります。生乳時の乳脂肪球は大きさにばらつきがあります。乳脂肪球の大きさにばらつきがあると飲用した際に均一な味わいを出すことができなくなります。
問45:次の乳製品に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1 全脂粉乳は、牛乳からクリームを分離し、乾燥させたものである。
2 練乳は、牛乳を濃縮したもので、独特の風味がある。
3 チェダーチーズは、カッテージチーズよりも硬いチーズである。
4 バターは、クリームを激しく攪拌し、脂肪球を凝集させてつくる。
正解:1
解説:牛乳からクリームを分離するということは、乳脂肪分を取り除くことであるから脱脂粉乳が正しいです。全脂粉乳は牛乳をそのまま乾燥したものになります。
問46:次のチョコレートに関する記述について、( )に入る語句の組み合わせとして、正しいものを1つ選びなさい。
チョコレートの表面に白色の粉が浮いたり、層になったりして、チョコレート独特のつやが消える現象を(ア)といい、製造工程の(イ)が適正に行われなかったり、湿度の(ウ)ところで作業した場合などの製品に起こりやすい。
(ア) (イ) (ウ)
1 テンパリング - ブルーム - 低い
2 ブルーム - テンパリング - 低い
3 テンパリング - ブルーム - 高い
4 ブルーム - テンパリング - 高い
正解:4
解説:チョコレートのテンパリングが適正に行われなければ、チョコレートの結晶体が不安定になりブルームとい現象が起きます。ブルームは2種類あり、脂肪分が浮き出たファットブルームと砂糖が浮き出たシュガーブルームがあります。チョコレートの結晶体を理解するとテンパリングとブルームは理解できると思います。
問47:次の果実類のうち、堅果類(種実類)に分類されるものを1つ選びなさい。
1 りんご
2 グレープフルーツ
3 くるみ
4 もも
正解:3
解説:りんごは仁果類、グレープフルーツは準仁果類、ももは核果類に該当します。
問48:次の果実加工品に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1 ジャム類のうち、原料果実の形が保たれているものをプレザーブという。
2 ゼリー類は、果汁に砂糖を加え加熱・冷却して凝固させたものである。
3 マーマレードは、農林物資の規格化等に関する法律(JAS法)において、柑橘類の果肉のみを原料としたものとされている。
4 フルーツソースは、果肉を煮沸し、裏ごしし、煮詰めてクリーム状にしたものをいう。
正解:3
解説:マーマレードの定義は、果皮または果肉を入れたもので果実が主体となっています。ジャムとほとんど同じものですが、原則、果皮が含まれていることが条件であると考えておくとよいです。
問49:次の凝固剤に関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 ペクチンは、酸やたんぱく質分解酵素を加えると凝固力が弱まる。
2 寒天は、熱不可逆性であり、一度凝固すると加熱しても溶解しない。
3 ゼラチンは、牛や豚の肉を原料とした低たんぱく質のコラーゲンが主成分である。
4 カラギーナンは、スギノリやツノマタなどの紅藻類を原料として作られる。
正解:4
解説:1について、ゼラチンのことになります。2について、熱不可逆性は存在しない。そもそも熱可逆性とは熱によって状態が変化する性質のことなので、寒天やゼラチンの場合、温度が上がると溶けて、温度が下がると固まる性質がそれに当たります。熱の変化で状態や性質が変化しない物質は地球上に存在するのでしょうか?3について、ゼラチンの動物の真皮や結合組織中にあるコラーゲンを抽出します。肉には含まれていません。
問50:次の種実類に関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 カシューナッツは、一般的に球形で、歯ごたえがとても硬い。
2 アーモンドは、ビターとスイートの2種類があり、ビターは製菓用やつまみなどに広く利用されている。
3 チェスナッツのヨーロッパ種は、マロングラッセに適する。
4 ヘーゼルナッツは、脂肪が少ないため、粉末で使用されることが多い。
正解:3
解説:カシューナッツは、勾玉に似た形状をしています。アーモンドのビターは主にアーモンドオイルとして使用されます。製菓で使用されているのはスイートアーモンドの方になります。チェスナッツは、種実類の中で唯一主成分がでん粉になります。ヘーゼルナッツは資質が多いナッツです。そのためペースト状に加工したものがあります。
問51:次のうち、果実を原料とする蒸留酒を1つ選びなさい。
1 シェリー
2 ラム
3 ブランデー
4 紹興酒
正解:3
解説:果実が原料となるお酒では、醸造酒はワイン、リンゴ酒、シェリーとなります。蒸留酒ではブランデー、キルシュワッサーがそれに該当します。また蒸留酒の方がアルコール度数が高くなることも合わせて覚えておくとよいと思います。
問52:次のうち、芳香性香辛料を1つ選びなさい。
1 ナツメグ
2 マスタード
3 ジンジャー
4 ワサビ
正解:1
解説:マスタード、ジンジャー、ワサビなどは辛味性香辛料に分類されます。その他の芳香性香辛料は、オールスパイス、シナモン、メース、クローブ、キャラウェー、カルダモン、アニス、コリアンダー、ジル、フェンネル、ローレルリーフ、ハッカなどがあります。
問53:次の香料に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1 乳化性香料は、香料に天然ガムやペクチンなどを混合し、水を加えて乳化状態にしたものである。
2 水溶性香料は、揮発性があるため、高温で加熱処理するものに使用しやすい。
3 油性香料は、一般的にあめ菓子や焼き菓子などに使用される。
4 粉末香料は、そのままではほとんどにおいを感じないが、口に入れたり水に溶かしたりすると強くにおいを感じる。
正解:2
解説:そもそも揮発性があるものは高温にさらされると消えてなくなると考えるとよいでしょう。今回のような高温でも変化しない香料では、オイル系の香料が耐熱性に優れているのでこれに該当します。
問54:次のうち、膨張剤ではないものを1つ選びなさい。
1 塩化アンモニウム
2 炭酸水素アンモニウム
3 炭酸水素ナトリウム
4 塩化マグネシウム
正解:4
解説:塩化マグネシウムは、塩の成分となります。製菓で使用されている膨張剤として、ガス発生基剤を使用しています。主に炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウムがこれに該当します。
問55:次の製パンに用いる材料に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1 食塩は、加えすぎるとパン生地が膨らみにくくなるため、全体の5~10%程度とするのがよい。
2 パン酵母は、10℃以下ではほとんど活動しない。
3 イーストフードは、イーストの栄養やパンの色つきの改善などのために使用される。
4 モルトエキスは、一般的にフランスパンのようなハード系のパンに用いられることが多い。
正解:1
解説:パン生地に加える食塩の添加量は、1~2%以内となります。また食塩については、一般に腐敗細菌の多くは5%の食塩濃度で繁殖が抑制され、15~20%で繁殖不能になることも合わせて把握しておくとよいでしょう。
以上が、令和3度に三重県で実施された製菓衛生師試験の製菓理論に関する解説となります。実際の試験問題は、三重県のHPで公開されています。(リンクは下です。)
製菓理論は、製菓原材料に含まれていない「食塩」は近年出題傾向が高いため、しっかりと把握しておきましょう。試験対策としては各原材料の特性をピックアップし、まずはそこをしっかりと理解する必要があります。出題される傾向として、他の原材料の特性とごちゃまぜにした問題がよく見受けられます。しっかりと区別できるように理解しておくとよいでしょう。また製菓理論は、一番出題数の多い科目であり製菓衛生師として最低限把握しておかなければならない事項がほとんどです。試験対策時にしっかりと把握をして、合格後もその知識が発揮できるように定着させておくとよいでしょう。
この試験の対策は、過去問題を繰り返し解いていき、出題頻度の高い部分を把握しておくと、ある程度対処できると思います。令和4年度の三重県で実施される製菓衛生師試験を受験される方たちに少しでも助けになればと思います。
以下のリンクは、試験対策に活用できるかと思います。
【三重県HPより】
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