ここでは、令和4年度に三重県で実施された製菓衛生師試験について、科目別に私なりの見解で解説をしていきます。
今回は、食品衛生学をみていきます。
令和5年度の製菓衛生師試験勉強のお役に立てればと思います。
また令和4年度に実施された製菓衛生師試験について、以下より確認ができます。
【食品衛生学】
問19次の令和3年(2021年)食中毒統計(厚生労働省)に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
(1)事件数が最も多い原因施設は、飲食店である。
(2)患者数が最も多い病因物質は、ノロウイルスである。
(3)事件数が最も多い病因物質は、カンピロバクターである。
(4)自然毒食中毒において、死者が発生している。
正解
3
解説
事件数が最も多い食中毒として、「アニサキス(寄生虫)」が344件と第1位となっています。
第2位に「カンピロバクター属菌(最近)」が154件、第3位に「ノロウイルス(ウイルス)」が72件となっています。
この順位は、2019年、2020年に続いて同じ結果となっています。
問20次のノロウイルス食中毒に関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
(1)ウイルスの不活化には、次亜塩素酸ナトリウムが有効である。
(2)潜伏期間は、通常3時間程度である。
(3)給食のパンは、原因食品となりえない。
(4)季節的に夏から秋に集中的に発生している。
正解
1
解説
現在のノロウイルス食中毒の原因は、加熱不十分な二枚貝の喫食が約2割、調理する人の手指などを介した食品汚染が原因とする場合が約8割となっています。
ノロウイルスは、ヒトの腸内でのみ増殖し、「下痢、嘔吐、吐き気、腹痛、発熱」などの症状を引き起こします。通常は1~3日程度で回復しますが、便通の細い方は長期間感染することが確認されています。
問21次のカンピロバクター食中毒に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
(1)主な原因食品として、未加熱又は加熱不足の二枚貝が挙げられる。
(2)数百個程度の少ない菌数で感染することがある。
(3)主な症状は、下痢、腹痛、発熱などである。
(4)カンピロバクターに感染すると、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症することがある。
正解
1
解説
カンピロバクターは、アニサキスに次いで食中毒件数が多い細菌性食中毒となっています。
件数が多いものとして、加熱不十分な鶏肉の喫食によるものです。また鶏肉だけではなく主に加熱不十分な畜産物、二次汚染による症例も増加傾向になります。
問22次のサルモネラ食中毒に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
(1)哺ほ乳類、鳥類、爬は虫類など、様々な動物が原因菌を保有している。
(2)原因菌は芽胞を作る菌であり、80℃程度の温度では殺菌されない。
(3)主な原因食品として、鶏肉料理や卵加工品が挙げられる。
(4)主な症状は、下痢、腹痛、発熱であり、重症の場合は死亡することもある。
正解
2
解説
サルモネラ食中毒の主な原因食品は、「食肉、タマゴ」です。
潜伏期間は、約8~48時間と長く、保菌者の状態によって変わります。
サルモネラ菌を殺す方法として「75℃以上1分間の加熱」により死滅することができます。
問23次の食品添加物の用途と物質名の組み合わせとして、正しいものを1つ選びなさい。
(1)乳化剤 - サッカリンナトリウム
(2)調味料 - L-グルタミン酸ナトリウム
(3)酸味料 - プロピオン酸ナトリウム
(4)甘味料 - D-マンニトール
正解
2
解説
サッカリンナトリウムは、主に甘味料として使用されます。
プロピオン酸ナトリウムは、主に保存料として使用されます。
D-マンニトールは、主に安定剤として使用されます。
問24次の食品のうち、食品表示法でアレルゲンの表示が義務付けられている特定原材料の組み合わせとして、正しいものを1つ選びなさい。
(1)もも、ぶどう
(2)そば、ピスタチオ
(3)乳、落花生
(4)小麦、大豆
正解
3
解説
食品表示法で指定されている食品は28品目あります。
このうち特定原材料は7品目指定されており、「卵、乳、落花生、そば、小麦、カニ、エビ」になります。
次いで特定原材料に準ずるものとして21品目「アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン」が指定されています。
問25次の水分活性に関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
(1)結合水の割合が高い食品は、水分活性が1.00に近い数値となる。
(2)一般的に、水分活性が0.60以下になると、微生物が活発に増殖しやすい。
(3)一般的に、ハムやソーセージよりも、玄米の方が水分活性は高い。
(4)微生物が増殖に利用できるのは、自由水であると言われている。
正解
4
解説
水分活性とは、食品中の自由水の割合を表す数値で「食品の保存性」の指標とされています。
自由水とは、食品内の分子・粒子が自由に動き回ることができる水で、微生物が増殖する際に利用できる水のことです。
問26次の残留農薬に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
(1)食品中の残留農薬の基準は、製造物責任法で定められている。
(2)食品衛生法において、収穫後の農作物に防かびを目的として使用される、いわゆるポストハーベストは、食品添加物に該当する。
(3)ポジティブリスト制度では、残留基準が設定されていない農薬についても、規制の対象となる。
(4)輸入食品については、輸入食品監視指導計画に基づき残留農薬のモニタリング検査が行われる。
正解
1
解説
農薬が基準値を超えて残留する食品の販売、輸入などは、食品衛生法により、禁止されています。これを「ポジティブリスト制度」と呼びます。
問27次の自然毒食中毒に関する組み合わせのうち、正しいものを1つ選びなさい。
(原因食品) (原因物質)
(1)バラフエダイ - ベネルピン
(2)ぎんなん - アマニタトキシン
(3)イシナギ - テトラミン
(4)青梅 - アミグダリン
正解
4
解説
バラフエダイは、シガトキシンおよび類縁化合物が毒成分となります。
ぎんなん(イチョウの実)は、ギンコトキシンが中毒成分となります。
イシナギは、ビタミンA過剰症を引き起こします。
問28次の放射線のうち、食品衛生法で「じゃがいもの発芽防止を目的とした照射」が認められているものとして、正しいものを1つ選びなさい。
(1)α線
(2)β線
(3)γ線
(4)X線
正解
3
解説
ジャガイモの芽には、「ソラニン」という神経毒が含まれているため、摂取すると頭痛、嘔吐、胃炎、下痢等の症状を引き起こします。
芽の発芽を防ぐためにコバルト60というガンマ線という放射線を照射することで対応しています。
問29次のうち、HACCPの7原則として、誤っているものを1つ選びなさい。
(1)モニタリング方法の設定
(2)危害要因の分析
(3)検証方法の設定
(4)フローダイアグラムの作成
正解
4
解説
HACCPには、7原則12手順に沿って進めていきます。
「手順1~5」は、「原則1~7」を進めるにあたっての準備となります。
手順1「HACCPチーム編成」、手順2「製品説明書の作成」、手順3「意図する用途及び対象となる消費者の確認」、手順4「製造工程一覧図の作成」、手順5「製造工程一覧図の現場確認」、手順6(原則1)「危害要因分析の実施(ハザード)」、手順7(原則2)「重要管理点(CCP)の決定」、手順8(原則3)「管理基準(CL)の設定」、手順9(原則4)「モニタリング方法の設定」、手順10(原則5)「改善措置の設定」、手順11(原則6)「検証方法の設定」、手順12(原則7)「記録と保存方法の設定」となります。
問30次のHACCPに関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
(1)「HACCPに沿った衛生管理」は、その事業規模を考慮し、「HACCPに基づく衛生管理」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」に分けられる。
(2)HACCPは「危害分析重要管理点(HazardAnalysisCriticalControlPoint)」の略称である。
(3)食品取扱従事者が50人未満の小規模事業者は、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の対象となる。
(4)「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」では、各事業団体が作成した手引書を利用する場合、確認・記録は不要である。
正解
4
解説
確認・記録は必要となります。
以上が、令和4年度に三重県で実施された製菓衛生師試験の食品衛生学に関する解説となります。
実際の試験問題は、三重県のHPで公開されています。(以下にリンク有)
食品衛生学は、「食中毒統計」「ノロウイルス食中毒」「カンピロバクター食中毒」「サルモネラ属菌食中毒」「食品添加物」「アレルゲン特定原材料」「水分活性(自由水)」「残留農薬基準」「自然毒食中毒」「ジャガイモの芽(放射線)」「HACCP」から出題されました。
食品衛生学では、主に食中毒に関する症状と統計から出題されます。また食品添加物やアレルギー食品として指定されている特定原材料28品目に関することが出題されます。衛生管理として、HACCPはすべての飲食店にて義務化されているため必須問題として、前年度の統計をベースに把握してきましょう。
以下のリンクは、試験対策に活用できるかと思います。
【三重県HPより】
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