ここでは、令和2年度に実施された東京都の製菓衛生師試験について、科目別に私なりの見解で解説をしていきます。
ここでは、「食品衛生学」を解説していきます。
よろしければ、製菓衛生師試験勉強のお役に立てれば幸いです。
【東京都の製菓衛生師試験状況はコチラから確認できます。】
www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp
【食品衛生学】
問21 日本における平成30年の食中毒の発生状況に関する記述で、正しいものを次の中から選びなさい。
1 1~3月の3か月間で患者数が一番多いのは、ウェルシュ菌食中毒である。
2 6~8月の3か月間で患者数が一番多いのは、ノロウイルス食中毒である。
3 年間で患者数が一番多いのは、カンピロバクター食中毒である。
4 年間で事件数が一番多いのは、アニサキス食中毒である。
正解
4
解説
平成30年に国内で発生した食中毒事件数は、1,330件、患者数は17,282人、死者数は3人でした。
病因物質別の事件数では、アニサキス(468件)、カンピロバクター(319件)、ノロウイルス(256件)の順で多かったです。
病因物質別の患者数は、ノロウイルス(8,475人)、ウェルシュ菌(2,319人)、カンピロバクター(1,995人)の順で多かったです。
問22 黄色ブドウ球菌食中毒に関する記述で、誤っているものを次の中から選びなさい。
1 菌が増殖する時に産生するエンテロトキシンが原因である。
2 潜伏期間は、2~4日である。
3 主な中毒症状は、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛である。
4 原因となりやすい食品には、握り飯、折詰弁当、シュークリームなどがある。
正解
2
解説
黄色ブドウ球菌は、食品中で増殖すると「エンテロトキシン」という毒素を産生する毒素型食中毒菌です。
症状として、約3時間後に激しい吐き気、嘔吐、腹痛、下痢をともなう急激な急性胃腸炎、発熱等を起こします。※毒素量により、症状に個人差があります。
死亡例はほとんどなく、約1~2日間で治ります。
主に原因とされる食品は、にぎりめし、寿司、肉、卵、乳などの調理加工品および菓子類など多岐にわたります。
問23 サルモネラ属菌に関する記述で、正しいものを次の中から選びなさい。
1 3%前後の食塩が存在する環境でよく生育する。
2 芽胞を作る嫌気性菌である。
3 熱には弱いが、乾燥には比較的強い。
4 人の腸管内で増殖する際に毒素を産生する。
正解
3
解説
サルモネラ属菌は、鶏、豚、牛などの動物の腸管や河川、下水など自然界に広く分布しています。
症状として、潜伏期間は6~72時間と長く、腹痛、下痢、嘔吐、発熱などの症状が起こります。
主に原因とされる食品は、サルモネラ属菌に汚染されている卵、肉を原材料とした食品です。※ネズミやペットなどの動物から介して食品を汚染する場合があります。
問24 自然毒による食中毒の原因食品及びその有毒成分に関する組み合わせとして、正しいものを次の中から選びなさい。
(原因食品) (有毒成分)
1 イシナギ ― ビタミンA
2 オニカマス ― テトラミン
3 ジャガイモ ― アフラトキシン
4 ピスタチオ ― アルカロイド
正解
1
解説
動植物の中には、体内に毒成分を持つものが数多く確認されています。そういった毒を総称して「自然毒」と呼称しています。
自然毒による食中毒件数は、細菌性食中毒件数に比べて少ないですが、フグ毒やキノコ毒のような致命率の非常に高いものがあるので極めて注意しなければなりません。
イシナギは、魚類の自然毒で肝臓に大量のビタミンAが含まれているため、肝臓を食べると「急性ビタミンA過剰症」により食中毒を引き起こします。
オニカマスは、魚類の自然毒で筋肉や内臓に「シガトキシンおよび類縁化合物」の毒成分を含んでおり、猛毒なため注意が必要です。
ジャガイモは、植物の自然毒で「ソラニン」や「チャコニン」と呼ばれる毒素を持っています。主に芽や緑色になった部分に多く含まれています。
ピスタチオは、「アフラトキシン」を産生するカビに汚染されることで食中毒を起こします。
問25 サッカリンナトリウムに関する記述で、正しいものを次の中から選びなさい。
1 食品に対する使用料に制限はない。
2 菓子、フラワーペースト類、氷菓に使用できる。
3 最終製品の完成品前に中和又は除去しなければならない。
4 食品の腐敗・変敗を防止し、食品の保存性を高める。
正解
2
解説
サッカリンナトリウムは、人工甘味料で、摂取しても熱量とならない特徴があります。
ショ糖に比べて200~700倍の甘味があります。
主に歯磨き粉、ガム、漬物、腐敗防止用途などに使用されています。
問26 食品と使用できる食品添加物の組み合わせとして、正しいものを次の中から選びなさい。
(食品) (食品添加物)
1 パン ― プロピオン酸
2 餡類 ― 銅クロロフィリンナトリウム
3 チョコレート ― ソルビン酸
4 カステラ ― 食用青色2号
正解
1
解説
プロピオン酸は、保存料としてパン等に使われています。
銅クロロフィリンナトリウムは、着色料としてチョコレートやチューインガムなどの菓子や寒天、昆布に使用されています。
ソルビン酸は、保存料としてハムやソーセージ、かまぼこなどに使用されています。
食用青色2号は、着色料として和菓子や焼き菓子、冷菓に使用されていますが、カステラ、きなこ、魚肉漬物、鯨肉漬物、こんぶ類、しょうゆ、食肉、食肉漬物、スポンジケーキ、鮮魚介類、茶、のり類、マーマレード、豆類、みそ、めん類、野菜、わかめ類には使用してはならないと定められています。
問27 食品添加物の用途名と物質名の組み合わせとして、正しいものを次の中から選びなさい。
(用途名) (物質名)
1 保存料 ― 臭素酸カリウム
2 甘味料 ― プロピレングリコール
3 漂白剤 ― 亜硫酸ナトリウム
4 発色剤 ― 流動パラフィン
正解
3
解説
臭素酸カリウムは、パン生地改良剤または小麦粉処理剤として使用されています。
プロピレングリコールは、防腐剤として生めんやイカの燻製、シュウマイなどに使用されています。
亜硫酸ナトリウムは、酸化防止剤および保存料として使用されています。
流動パラフィンは、パンの型に使用する離型剤やチョコレートやキャンディにツヤを与えるコーティング剤として使用されています。
問28 食品取扱者の衛生に関する記述で、正しいものを次の中から選びなさい。
1 手洗いは、指輪や時計を外さず手と一緒にしっかりと行う。
2 腸管出血性大腸菌の保菌者は、食品を扱う場合には手袋とマスクをつけなければならない。
3 作業着で外出する場合は、ほこり等の異物を持ち込まないように注意しなければならない。
4 健康管理のため、年に1年以上は健康診断を受けて健康を確認する必要がある。
正解
4
解説
食品取扱者等の衛生管理として、「従業員の健康管理」「手洗い」「従業員の身なり」「工場への入場から製造・加工室への移動」が挙げられます。
問29 殺菌、消毒に関する記述で、誤っているものを次の中から選びなさい。
1 消毒とは、病原性微生物を死滅させて感染症や食中毒の危険を除くことである。
2 滅菌とは、すべての微生物を死滅させ無菌状態にすることである。
3 殺菌灯殺菌とは、紫外線を照射して殺菌する方法である。
4 放射線による殺菌は、日本では熱に弱い香辛料に認められている。
正解
4
解説
消毒とは、最近の活動を弱めること。
殺菌とは、特定の細菌を殺すこと。
滅菌とは、すべての細菌を死滅させること。
問30 HACCP(危害分析重要管理点)に関する記述で、正しいものを次の中から選びなさい。
1 最終製品の検査のみで、安全性を確保する。
2 最初の手順として、HACCPチームを編成する。
3 記録は、事故発生時のみ作成する。
4 重要管理点(CCP)は、これまでの経験に基づき設定する。
正解
2
解説
2020年6月1日よりHACCP導入の義務化が始まりました。
対象は、すべての食品関連事業者となります。
「Hazard(危害)、Analysis(分析)、Critical(重要)、Control(管理)、Point(点)」の頭文字を取った造語です。
HACCPは、製造工程を細分化し、工程ごとのリスク管理を行うことです。
万が一、食品事故が発生した場合に、どの工程に問題があったのかを迅速に解明し対応することが可能となります。
問31 食品添加物の表示に関する記述で、誤っているものを次の中から選びなさい。
1 一般飲食物添加物は、表示の必要がない。
2 加工助剤は、表示の必要がない。
3 甘味料は、物質名のほか用途名も記載する必要がある。
4 栄養強化の目的で使用される添加物は、表示が免除される。
正解
1
解説
食品添加物の定義として、「食品の製造の課程において又は食品の加工もしくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する」ものと定めており、原則、使用したすべての食品添加物を「物質名」で食品に表示しなければなりません。
問32 食品表示基準に規定する特定原材料の組み合わせとして、正しいものを次の中から選びなさい。
1 卵、乳、いか
2 そば、くるみ、さば
3 小麦、落花生、かに
4 大豆、りんご、えび
正解
3
解説
アレルゲンを含む食品に関する表示(アレルギー表示)について、特定原材料として「えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生」の7品目があり、準特定原材料として「アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンの21品目が挙げられます。
以上が、令和2年度に東京都で実施された製菓衛生師試験の食品衛生学の解説です。
東京都では、食品衛生学が12問出題されました。
令和2年度試験の食品衛生学は、食中毒4問、食品添加物5問、食品衛生に関する事項3問でした。
食品衛生学は、製菓理論に次いで問題数が多くなります。主に食品に関する注意点が出題されると考えるとよいでしょう。それはつまり「食中毒」「食品添加物」に関することになります。
食中毒では、例年「昨年度の事件数・患者数に関する事項」「主な食中毒菌に関する特徴」などが問われます。
食品添加物では、「使用に関する注意事項」「アレルゲンに関する食品」について問われる傾向にあります。
また「HACCP」に関する内容は例年出題されているため、しっかりと把握しておきましょう。
実際の試験問題は、東京都のHPで公開されています。過去問題を繰り返し解いていくことで、出題される問題の傾向が見えてきます。
★わたしが解説している過去問題もぜひ参考にしてみてください!
東京都だけでなく他の都府県で実施される製菓衛生師試験を受験される方たちにも少しでも助けになればと思います。
【東京都福祉保健局が公表している過去問題です。】
・令和2年度製菓衛生師試験問題【東京都】(PDF:401KB)
・令和2年度製菓衛生師試験正答【東京都】(PDF:44KB)
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