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食品の有害成分、知っておこう!種類と摂取量と健康被害のリスク|食品学・製菓衛生師試験

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|はじめに

 食品の有害成分とは、食品に含まれる化学物質や微生物などで、人体に悪影響を及ぼす可能性のあるものです。食品の有害成分には、添加物、農薬、重金属、放射性物質、カビ毒素、細菌毒素などがあります。これらの有害成分は、摂取量や摂取期間によって、様々な健康被害を引き起こすことがあります。

 ここでは、食品の有害成分の種類と摂取量と健康被害のリスクについて解説します。

 

 

1.食品に含まれる有害成分とは何か?

 食品に含まれる有害成分とは、人体に悪影響を及ぼす可能性のある物質のことです。

 有害成分の種類には、農薬や添加物、重金属や放射性物質などがあり、これらの成分は食品の生産や加工、保存、調理の過程で食品に混入したり、自然に発生したりする場合があります。また、有害成分によっては発がん性や遺伝子変異を引き起こしたり、免疫系や内分泌系に障害を与えたりする恐れがあります。食品に含まれる有害成分を避けるためには、安全な食品の選択や保存方法、調理方法に注意する必要があります。

 

①食品に含まれる有害物質の種類

 食品に含まれる有害成分の例としては、以下のようなものがあります。

 

・有害化学物質:食品の製造、加工、調理の工程で生成される成分など

・自然毒:カビ毒、植物毒、動物毒など

・汚染物質:重金属、農薬残留物、放射性物質など

 

 食品に含まれる有害成分は、摂取量や摂取期間によっては、発がん性や遺伝子変異性などの健康リスクを引き起こす可能性があるので、食品に含まれる有害成分の摂取を減らすためには、食品の選択や保存方法、調理方法などに注意する必要があります。

 

②どのような影響があるか?

 食品に含まれる有害成分として、農薬や添加物、重金属や放射性物質などがあります。これらの成分は、食品の生産や加工、保存や調理の過程で食品に混入したり、自然に発生したりすることがあります。

 有害成分が体内に取り込まれると、アレルギーや発がん性、内分泌系の障害など、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。

 

③食品の有害成分を適切に管理することの重要性

 農薬や添加物、重金属や放射性物質などの有害成分は、食品の生産や加工、流通、保存などの過程で混入したり、自然に発生したりすることがあります。食品の有害成分を適切に管理することは、消費者の健康を守るために非常に重要です。有害成分が多く含まれる食品を摂取すると、急性や慢性の病気を引き起こしたり、発がん性や遺伝子変異などのリスクを高めたりする可能性があります。そのため、食品の有害成分は、法律や基準に従って厳しく規制されています。また、消費者自身も、食品の表示や情報を確認したり、新鮮で清潔な食品を選んだり、適切に調理や保存を行ったりすることで、有害成分の摂取を減らすことができます。

 

基礎食品学

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2.急性毒性をもつ有害成分

 急性毒性をもつ有害成分とは、食品に含まれるか、または食品に混入する可能性のある化学物質や微生物などで、一度に大量に摂取すると、短時間で重篤健康被害を引き起こすものです。 急性毒性をもつ有害成分の摂取量は、一般的には非常に少なく、日常的に摂取することはほとんどありません。しかし、万が一摂取した場合は、速やかに医療機関に受診する必要があります。

 急性毒性をもつ有害成分の予防方法としては、食品の保存や調理に注意し、賞味期限や消費期限を守ることが重要で、不審な食品や飲料は絶対に摂取しないことが基本となります。

 

テトロドトキシン(フグ)

 テトロドトキシンは、フグやヒキガエルなどの動物に含まれる神経毒で、神経細胞のナトリウムチャネルを遮断し、神経伝達を妨げます。

 テトロドトキシンの致死量は、人間では約1.5mgと非常に少なく、中毒症状は、しびれ、吐き気、下痢、けいれん、呼吸困難などであり、重症化すると呼吸停止や心停止に至ります。

 テトロドトキシン中毒の予防方法は、フグなどの有毒な動物を食べないことや、食べる場合は専門の調理師に任せることです。

 

パリトキシン(魚類)

 パリトキシンは、主に熱帯や亜熱帯の海域に生息する魚類の皮膚や内臓に含まれる有毒物質で、ナトリウムチャネルを活性化し、神経や筋肉の興奮を引き起こします。

 パリトキシンを含む魚を食べると、口内や喉のしびれ、吐き気、下痢、けいれん、呼吸困難などの症状が現れます。重症化すると、心不全や呼吸停止により死亡することもあります。

 パリトキシン中毒の予防方法は、パリトキシンを含む可能性のある魚を食べないことです。また、魚を調理する際には、皮や内臓を取り除き、よく火を通すことが必要です。

 

サキシトキシン(貝類)

 サキシトキシンは、貝類やプランクトンなどに含まれる神経毒の一種で、サキシトキシンを含む食品を摂取すると、口や手足のしびれ、吐き気、下痢などの症状が現れます。重症になると、呼吸困難や心停止などの命に関わる危険があります。

 サキシトキシン中毒は、赤潮と呼ばれる海水の異常増殖によって発生します。予防するためには、赤潮の発生時期や地域に注意して、貝類や魚介類の消費を控えることが必要です。また、貝類を食べる場合は、内臓を取り除いてよく加熱することで、サキシトキシンの量を減らすことができます。

 

④ワックス(バラムツ

 ワックス(バラムツ)は、魚の内臓に含まれる有毒な脂質で、摂取すると下痢や嘔吐などの消化器症状や、めまいや頭痛などの神経系症状が起こります。重症になると、呼吸困難や昏睡などの危険な状態に陥ることもある。

 ワックス中毒の予防方法は、バラムツやその加工品を食べないことですが、食べる場合は内臓を取り除き、よく火を通すことが必要です。ワックス中毒になった場合は、速やかに医療機関に受診することが重要である。

 

⑤オカダ酸(貝類)

 オカダ酸は、赤潮の原因となるプランクトンの一種であるダイノフィシス属によって産生される有毒な化合物で、貝類などの濾過摂食動物に蓄積され、人間が摂取すると、下痢性貝毒DSP)と呼ばれる食中毒を引き起こします。

 オカダ酸の摂取量によっては、嘔吐、腹痛、下痢などの消化器系の症状や、めまい、頭痛、発熱などの全身性の症状が現れます。重症化すると、けいれんや意識障害などの神経系の障害が起こることもあります。オカダ酸による急性毒性は、通常24時間以内に回復しますが、長期的な影響はまだ十分に解明されていません。

 オカダ酸を予防するためには、赤潮発生時期や地域に注意し、貝類の産地や消費期限を確認することが重要で、貝類を調理する際には、しっかりと加熱し、内臓や汁を捨てることでオカダ酸の摂取量を減らすことができます。

 

⑥アミグダリン(青梅)

 アミグダリンは、青梅やアーモンドなどの種子に含まれる有害成分で、体内で分解されるとシアン化水素となり、急性毒性を引き起こす可能性があります。

 シアン化水素は、細胞の呼吸を阻害し、頭痛、めまい、吐き気、呼吸困難などの症状を引き起こし、重症になると昏睡や死亡に至ることもあります。

 アミグダリンの摂取量は、体重1キログラムあたり0.6ミリグラム以下にする必要があり、予防方法としては、青梅やアーモンドなどの種子を生で食べないことや、加熱処理をすることが挙げられます。

 

⑦リナマリン(雑豆の生餡)

 リナマリンは、雑豆の生餡などに含まれる有害成分の一種で、水に溶けるとシアン化水素に変わり、細胞内の呼吸を阻害し、酸素不足を引き起こす急性毒性物質です。

 リナマリンの摂取量が多いと、頭痛、めまい、吐き気、呼吸困難などの症状が現れ、重症化すると昏睡や死亡に至ることがあります。

 リナマリンの健康被害を予防するには、加熱することで、リナマリンは分解されて無毒化されるので、雑豆の生餡を食べる前に十分に加熱することが必要です。また、雑豆の生餡を食べた後には、ビタミンB12やナトリウムチオ硫酸などの解毒剤を摂取することも有効です。

 

ソラニン(じゃがいも)

 ソラニンは、じゃがいもなどのナス科植物に含まれるアルカロイドの一種で、じゃがいもの芽や皮に多く含まれ、光に当たると緑色に変化します。

 ソラニン中毒の症状には、嘔吐、下痢、頭痛、めまい、発熱、けいれんなどがあり、消化器系や神経系に影響を与える急性毒性を持ち、摂取量によっては死亡することもあります。

 ソラニン中毒を予防するためには、以下のことに注意する必要がある。

 ・じゃがいもは暗所で保存し、芽や皮をしっかりと除去する。

 ・じゃがいもの色が緑色に変わった部分は切り捨てる。

 ・じゃがいもは十分に加熱して食べる。

 

ムスカリン(きのこ)

 ムスカリンは、アセタケ属やカヤタケ属などの特定のキノコに含まれるアルカロイドで、副交感神経に作用して重篤な中毒症状を引き起こすことがあります 。しかし、ムスカリン血液脳関門を通過できないため、中枢神経系には影響しません。

 ムスカリンを含むキノコを食べると、15~30分後に涙や唾液の分泌増加、発汗、瞳孔の縮小、脈拍数の減少などの副交感神経刺激型の症状が現れ、大量に摂取した場合は、腹痛、吐き気、下痢、呼吸困難なども起こります 。重症例では、精神錯乱や意識喪失などが見られることもあります 。ムスカリン中毒は致死率が低いとされますが、心臓発作や呼吸不全によって死亡する可能性もあります 。

 ムスカリン中毒の解毒剤としては硫酸アトロピンが有効で、ムスカリンと競合的にムスカリンアセチルコリン受容体に結合し、その作用を阻害します。アトロピンは速やかに静脈内注射で投与されます。外見だけで毒キノコを見分けることは困難なため、ムスカリン中毒を予防するためには、野生のキノコを安易に採って食べたり人にあげたりしないことが重要です。キノコを食べて体調に異常を感じたら、直ちに病院を受診してください。

 

⑩アマニタトキシン(きのこ)

 アマニタトキシンは、ベニテングタケやヒフキベニテングタケなどの毒キノコに含まれる有害成分で、肝臓や腎臓などの臓器に強い障害を引き起こし、死に至ることもあります。

 アマニタトキシンの致死量は、人によって異なりますが、一般的には0.1mg/kg程度とされています。アマニタトキシンの健康被害は、摂取後6〜24時間程度で発症し、最初は嘔吐や下痢などの消化器症状が現れますが、その後は肝不全や腎不全などの重篤な症状が出てきます。

 アマニタトキシンに対する特効薬はありませんが、早期に医療機関で治療を受けることで生存率が高まります。アマニタトキシンの予防方法としては、自分で採ったキノコを食べないことや、信頼できる専門家によって安全性が確認されたキノコだけを食べることが重要です。

 

⑪高濃度のビタミンA(イシナギ)

 ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康に必要な栄養素であるが、過剰に摂取すると急性中毒を起こす可能性があります。高濃度のビタミンAは、イシナギという魚の肝臓に含まれており、日本では伝統的に食用にされていますが、イシナギの肝臓は一度に多量に食べると危険であるとされています。

 ビタミンA中毒の症状は、頭痛、吐き気、下痢、皮膚のほてりやかゆみなどで、重症になると、肝臓や脳に障害を起こし、死亡することもあります。ビタミンA中毒を予防するためには、イシナギの肝臓を食べる際には量を控えることが重要です。

 

 

3.慢性毒性をもつ有害成分

 慢性毒性をもつ有害成分とは、長期間にわたって少量ずつ摂取すると、体内に蓄積されて健康被害を引き起こす可能性のある物質のことです。これらの有害成分の特徴は、一度体内に入ると排出されにくく、長年にわたって様々な臓器や細胞に影響を与えることです。

 摂取量は、一般的には法律で定められた基準値以下であれば安全とされていますが、個人差や食品の組み合わせなどによっても影響は変わります。

 健康被害のリスクは、発がん性や神経障害、免疫低下、生殖機能障害などが報告されています。予防方法としては、有害成分の含まれる食品を避けることが最も効果的ですが、現実的には難しい場合もあります。その場合は、食品の洗浄や調理法を工夫することで有害成分の摂取量を減らすことができます。また、抗酸化物質や食物繊維などを多く含む食品を摂ることで、体内の有害成分の排出を促すことも重要です。

 

①プタキロサイド(わらび)

 プタキロサイドは、わらびなどのシダ植物に含まれる有害成分で、水に溶けやすく、加熱しても分解されません。プタキロサイドを摂取すると、胃や腸の粘膜にダメージを与えたり、肝臓や腎臓の機能を低下させたりする可能性があります。

 プタキロサイドの慢性毒性は、長期間にわたって少量ずつ摂取することで発現するため、健康被害のリスクを低減するには、わらびなどのシダ植物を食べる前に、十分に水洗いして水にさらすことが必要です。また、シダ植物を食べる頻度や量を控えることも重要です。

 

②ペタシテニン(ふきのとう)

 ペタシテニンは、ふきのとうやふきなどの植物に含まれる有害成分で、細胞分裂を阻害する作用があり、長期的に摂取すると発がん性や遺伝毒性を引き起こす可能性があります。

 ペタシテニンの摂取量は、一般的には食品として摂取する量では問題ありませんが、ふきのとうやふきを大量に食べたり、生で食べたりすると危険です。

 ペタシテニンの予防方法は、ふきのとうやふきを食べる際にはよく茹でて水にさらすことで、ペタシテニンの含有量を減らすことができます。また、ふきのとうやふきを食べる頻度や量を適切に調節することも大切です。

 

③アガリチン(きのこ)

 アガリチンは、主に生のきのこに含まれる有害成分で、加熱すると分解されるため、調理したきのこにはほとんど含まれません。アガリチンは、慢性的に摂取すると、肝臓や腎臓に障害を引き起こす可能性があります。また、発がん性や変異原性も疑われています。アガリチンの摂取量は、きのこの種類や保存方法によって異なりますが、一般的には、生のきのこを1日100g以上食べると危険なレベルに達すると言われています。

 アガリチンの健康被害を予防するためには、生のきのこを食べないことが最も重要です。また、きのこを保存する場合は、冷蔵庫で密閉しておくと、アガリチンの生成を抑えることができます。

 

ベンゾピレン(焼き魚の焦げ)

 ベンゾピレンは、炭化水素の一種で、燃焼時に発生する有害成分で、特に魚や肉などの動物性食品を高温で焼くと、表面にベンゾピレンが生成されます。ベンゾピレンは慢性毒性を持ち、長期的に摂取すると発がん性や遺伝子変異の原因となる可能性があります。

 ベンゾピレンの摂取量を減らすためには、焼き魚や焼き肉などの食べ方に注意することが必要です。具体的には、以下のような方法があります。

・焼き加減を調節し、焦げないようにする。

・焦げた部分は切り落として捨てる。

・焼く前にマリネや下味をつけることで、ベンゾピレンの生成を抑える。

・野菜や果物などの抗酸化物質を含む食品を一緒に摂ることで、ベンゾピレンの悪影響を軽減する。

 

⑤水銀(魚)

 水銀は、自然界に存在する金属元素で、火山噴火や石炭の燃焼などによって大気中に放出され、雨や雪とともに地表に降りてきます。水銀は、水中で微生物によって有機化され、メチル水銀という形で魚や貝などの海産物に蓄積されるため、人間が食べたときに吸収されやすく、体内で排出されにくいため、長期間にわたって摂取すると蓄積されていき、神経系や脳に悪影響を及ぼし、発達障害や知能低下などのリスクを高めます。特に、妊娠中や授乳期の女性や小児は、メチル水銀の影響を受けやすいため注意が必要である。水銀の摂取量を減らすためには、以下のことに気をつけるとよい。

・水銀の含有量が高いとされる大型の肉食魚(マグロやカジキなど)やイルカなどは、週に一回以下にする。

・小さくて若い魚や貝などは、水銀の含有量が低いとされるので、積極的に食べる。

食品衛生法で定められた基準値を超える水銀が検出された食品は、流通から排除されるようにしている。

厚生労働省のホームページなどで、水銀の含有量や安全な摂取量などの情報を確認する。

 

カドミウム(米)

 カドミウムは、鉱物中や土壌中などに天然に存在する重金属で、銀・銅・亜鉛などの金属とともに存在しています。日本には、全国各地に鉛・銅・亜鉛の鉱山や鉱床が多数あるため、鉱山開発や精錬などの人の活動によって環境中へ排出されるなど、いろいろな原因により水田などの土壌に蓄積してきました。米等の穀物、野菜、果実、肉、魚など、多くの食品にカドミウムは含まれています。

 カドミウムは、食品や水を通じて体内に入ると、主に腎臓に蓄積され、カドミウム濃度が高い食品を長期間にわたって摂取すると、近位尿細管の再吸収機能障害が引き起こされて腎機能障害が発生することがあります。また、カドミウム骨粗しょう症や貧血の原因となる可能性もあります。カドミウムの摂取を減らすためには、以下のようなことに注意するとよいでしょう。

カドミウムが多く含まれる食品(貝類やイカなどの内臓)を過剰に摂取しない。

カドミウムが少なく含まれる食品(果物や乳製品など)をバランスよく摂取する。

・食事以外からもカドミウムを摂取しないようにする(たばこや電子タバコなど)。

・鉄分やカルシウムなどの栄養素を十分に摂取する。

 

⑦ニトロソ化合物(食肉加工品)

 ニトロソ化合物は、食肉加工品に含まれる亜硝酸塩とアミンが反応して生成される有害成分で、胃や食道などの消化器系の発がんリスクを高めるとされています。

 ニトロソ化合物の摂取量は、食肉加工品の種類や保存方法によって異なりますが、一般的には、加熱したり、酸味のある調味料と一緒に食べたりすると減少します。

 ニトロソ化合物の予防方法としては、食肉加工品の摂取量を適度に抑えることや、新鮮な野菜や果物を多く摂ることが挙げられます。

 

⑧グルコシノレート(アブラナ科の植物)

 グルコシノレートは、アブラナ科の植物に含まれる有泸分裂阻害物質で、細胞分裂を妨げることで、癌や甲状腺の病気の原因となる可能性があります。しかし、グルコシノレートは加熱すると分解されるため、生で食べる場合に注意が必要です。

 グルコシノレートは、ビタミンCやEなどの抗酸化物質と相乗効果を発揮することで、体内の活性酸素を除去し、免疫力を高める効果もあるため、グルコシノレートを含む食品は適度に摂取することが望ましい。

 

アフラトキシン(ナッツ類、香辛料、とうもろこし)

 アフラトキシンは、カビの一種であるアスペルギルス属によって産生される有害成分で、ナッツ類、香辛料、とうもろこしなどの食品に含まれることがあります。アフラトキシンは、慢性的に摂取すると肝臓に障害を引き起こし、肝がんのリスクを高めると考えられています。アフラトキシンの摂取量を減らすためには、以下の予防方法が有効です。

・保存状態の悪い食品は避ける

・カビの生えた食品は捨てる

・食品の賞味期限や消費期限を守る

・食品を乾燥させたり加熱したりする

 

 

4.栄養素の消化吸収や生理作用を妨害する有害成分

 栄養素の消化吸収や生理作用を妨害する有害成分は、植物性食品に自然に存在する化合物です。予防方法としては、植物性食品を十分に加熱したり浸水したりすることで有害成分を分解することや、ミネラルやタンパク質の吸収を助ける食品を一緒に摂取することが挙げられます。

 

①トリプシン阻害物質(生大豆)

 トリプシン阻害物質とは、タンパク質の消化を助ける酵素であるトリプシンの働きを妨げる物質のことで、生の大豆に多く含まれていますが、加熱することで不活性化されます。

 トリプシン阻害物質の摂取量が多いと、タンパク質の消化不良やアレルギー反応を引き起こす可能性があります。また、甲状腺ホルモンの合成を阻害する作用もあります。

 トリプシン阻害物質の健康被害のリスクを低減するには、生の大豆を食べないことや、加熱処理を十分に行うことが重要です。

 

②赤血球凝固物質レクチン(豆類)

 レクチンは、豆類に含まれるタンパク質の一種で、赤血球を凝固させる作用があります。レクチンは、生の豆類や加熱不十分な豆類を食べると、消化器官に吸収されて血液中に入り、赤血球が凝固して塊になり、血管を詰まらせたり、腎臓や肝臓に障害を起こしたりする可能性があります。

 レクチンの健康被害のリスクは、個人差や摂取量によって異なりますが、一般的には、下痢や吐き気、腹痛などの消化器症状や、貧血や免疫低下などの全身症状が起こることがあります。レクチンの予防方法は、豆類を十分に加熱することです。加熱することで、レクチンの活性が低下し、赤血球凝固作用が弱まります。また、豆類を水に浸してから加熱すると、レクチンの一部が水に溶け出して除去されます。豆類は栄養価が高く、食物繊維やビタミンなども豊富に含まれています。しかし、レクチンの有害成分に注意して、適切な調理法で食べることが大切です。

 

③無機質吸収阻害物質フィチン酸(穀類)

 フィチン酸は、穀類の種子に含まれる有機リン化合物で、カルシウムや鉄などの無機質と結合して不溶性の塩を形成し、無機質の吸収が阻害される可能性があります。

 フィチン酸の摂取量は、穀類の種類や加工方法によって異なりますが、一般的には1日あたり100〜800mg程度と推定されています。フィチン酸健康被害のリスクは、無機質の摂取量や体内での利用率、他の食品との相互作用などによって変化しますが、カルシウムや鉄の不足による骨粗しょう症や貧血などが考えられます。

 フィチン酸の予防方法としては、穀類を十分に水に浸す、発芽させる、発酵させるなどの方法があります。これらの方法は、フィチン酸を分解する酵素を活性化させたり、フィチン酸と結合する無機質を補給したりすることで、無機質の吸収を改善する効果があります。

 

④無機質吸収阻害物質シュウ酸(野菜類)

 シュウ酸は、ほうれん草やラムズレタスなどの野菜に含まれる有機酸の一種で、カルシウムや鉄などの無機質と結合して不溶性の塩を形成し、そのまま排出されます。そのため、シュウ酸を多く含む食品を摂取すると、無機質の吸収が妨げられる可能性があります。

 シュウ酸の摂り過ぎは、腎臓結石や貧血の原因にもなります。シュウ酸の摂取量を適切にコントロールするには、以下の点に注意しましょう。

・シュウ酸を多く含む野菜は、よく水洗いしてから調理することで、シュウ酸の一部を除去できます。

・シュウ酸と結合しやすいカルシウムや鉄は、別の食事で摂取するようにします。

・シュウ酸を多く含む食品を摂取した場合は、水分補給を十分に行います。

 

 

5.アレルゲンとなる成分

 アレルゲンとは、食品に含まれるタンパク質の一部で、免疫系が過剰に反応してアレルギー症状を引き起こすもので、アレルゲンとなる成分は個人差があります。

 アレルギー症状は軽いものから重篤なものまでさまざまで、かゆみや発疹、腹痛や下痢、呼吸困難やショックなどがあります。アレルゲンとなる成分の摂取量は個人によって異なりますが、ごく少量でも反応する場合があります。

 アレルゲンとなる成分を予防するには、食品表示をよく確認して自分がアレルギーを持つ成分が含まれていないかチェックすることが重要です。また、外食や持ち寄り料理などでは、事前にアレルギーの有無を伝えたり、確認したりすることも必要です。

 

①特定原材料(8品目)

 アレルゲンとなる成分の特定原材料とは、アレルギーの原因となりやすい8種類の食品「えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)」が法律で定められていて、これらの食品は表示義務があります。

②準特定原材料(20品目)

 アレルゲンとなる成分の準特定原材料とは、20種類の食品「アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツキウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン」が法律で定められています。

 

 アレルゲンとなる成分の摂取量や健康被害のリスクは個人差が大きく、一概には言えませんが、重篤な場合はアナフィラキシーショックという命に関わる症状を起こすこともあります。予防方法としては、自分がアレルギーを持っているかどうかを医師に相談し、検査を受けることが大切です。また、食品の表示をよく確認し、自分に合わないものは避けるようにしましょう。

 

 

6.トランス脂肪酸

 トランス脂肪酸とは、水素添加した植物油を扱う過程で人工的に生成される副産物です。悪玉コレステロール動脈硬化、心臓疾患、がん、免疫機能、認知症不妊、アレルギー、アトピーなどの疾患リスクを上げるものとして、健康への悪影響が報告されています。

 トランス脂肪酸には、天然に食品中に含まれているものと、油脂を加工・精製する工程でできるものがあります。天然にできるものは牛肉や牛乳などに微量に含まれていますが、油脂の加工・精製でできるものはマーガリンやショートニングなどに比較的多く含まれている可能性があります。トランス脂肪酸の摂取量を抑えるためには、食品表示を見てトランス脂肪酸や水素添加油脂の含有量を確認したり、同じものばかりを食べるのではなくいろいろな食品をバランスよく食べたりすることが重要です。

 

不飽和脂肪酸

 不飽和脂肪酸は、食品に含まれる脂肪の一種で、二重結合や三重結合を持つ炭素原子があることが特徴で、オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸などの必須脂肪酸が含まれており、人間の体では合成できないため、食事から摂取する必要があります。

 不飽和脂肪酸は、血液の流れを良くしたり、コレステロール中性脂肪の値を下げたり、炎症を抑えたりするなど、健康に様々な効果をもたらしますが、不飽和脂肪酸は酸化しやすく、過剰に摂取すると活性酸素の発生や細胞の老化を促進する可能性があります。また、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスが崩れると、免疫機能やホルモンの分泌に影響を与えることもあります。

 不飽和脂肪酸の摂取量は、一日に体重1キログラムあたり1〜2グラム程度が目安とされています。不飽和脂肪酸を摂取する際には、魚油や亜麻仁油などのオメガ3脂肪酸が豊富な食品や、ナッツや種子類などのオメガ6脂肪酸が豊富な食品をバランスよく選ぶことが大切です。また、加熱や保存によって不飽和脂肪酸が変質することを防ぐためには、新鮮なものを適量摂取し、抗酸化作用のあるビタミンEやCなども一緒に摂ることがおすすめです。

 

飽和脂肪酸

 飽和脂肪酸とは、炭素間に二重結合を持たない脂肪酸で、乳製品や肉などの動物性脂肪や、パーム油などの植物油脂に多く含まれていて、エネルギーとして使われやすく、体内で合成できる脂肪酸です。しかし、過剰摂取すると血中総コレステロールが増加し、心筋梗塞をはじめとする循環器疾患のリスクが増加することが予想されています 。飽和脂肪酸を多く含む食品には、以下のようなものがあります  。

・肉類(牛肉、豚肉、鶏肉など)

・乳製品(牛乳、バター、チーズ、ヨーグルトなど)

・油脂類(ココナッツオイル、パーム油、ラード、マーガリンなど)

・菓子類(ホワイトチョコレート、ミルクチョコレート、チーズケーキ、バターケーキなど)

 飽和脂肪酸の摂取目標量は、総エネルギー摂取量に占める割合で7%以下とされています。これは成人男性で約16g/日、成人女性で約13g/日に相当します。

 

 

7.自然界に存在する重金属

 自然界に存在する重金属とは、鉛、水銀、カドミウムなどの金属元素のことで、土壌や水などに含まれています。これらの重金属は、植物や動物に取り込まれると、生体内で蓄積されていき、人間が重金属を含む食品を摂取すると、神経系や腎臓などに様々な健康被害を引き起こす可能性があります。

 重金属の摂取量は、食品の種類や産地によって異なりますが、一般的には海産物や内臓肉などに多く含まれています。重金属の健康被害を予防するためには、食品の安全性に注意し、食品のバランスや摂取量を適切に調整することが重要です。

 

ヒ素

 ヒ素は、自然界に広く分布する金属元素で、火山活動や鉱物の風化などによって環境中に放出され、水道水や食品(特に海産物や米など)に含まれることがあり、人体に摂取されると、皮膚病や神経障害、肝臓がんや肺がんなどの発症リスクを高めます。

 ヒ素の摂取量は、地域や食生活によって大きく異なりますが、世界保健機関(WHO)は、水道水中のヒ素濃度を10μg/L以下とする基準を設けています。ヒ素健康被害を予防するためには、水道水の検査や浄水器の使用、食品の洗浄や加熱処理などを行うことが重要です。

 

メチル水銀

 メチル水銀は、水銀の有機化合物で、主に魚介類に含まれる食品の有害成分で、神経系や脳に悪影響を及ぼす可能性があり、特に妊娠中や授乳中の女性や小児には危険です。

 メチル水銀の摂取量は、食品安全委員会が定めた基準値を超えないように注意する必要があります。基準値は、一週間あたりの摂取量で、体重1キログラムあたり0.4ミリグラムです。メチル水銀の予防方法としては、高濃度のメチル水銀を含む可能性が高い魚介類(マグロ、カジキ、サメなど)を避けることや、食べる場合は量や頻度を控えることが挙げられます。

 

 

|おわりに

 以上、食品に含まれる有害成分の種類と影響について概説しました。

 食品に含まれる有害成分の種類と摂取量、そしてそれらが引き起こす健康被害のリスクについて紹介しました。食品の有害成分を完全に避けることは現実的ではありませんが、食品の表示や原材料をよく確認し、安全で健康的な食生活を心がけることが大切です。また、食品の表示や情報源には様々なものがあるため、信頼性の高いものを選択することが重要です。

 さらに、食品だけでなく、環境や生活習慣からも有害物質にさらされていることを念頭に置き、バランスの良い食生活を心がけることが健康のために必要であると言えるだろう。

 

 

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