製菓衛生師の資格とキャリア:食に関する新たな選択肢

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『米を洗う』岩塚製菓100年の軌跡に学ぶ─伝統と革新を両立させた米菓づくりの哲学と、素材への敬意が生む本物の味

 

 

新潟発の米菓メーカーが歩んだ100年の挑戦を通じて見えてくる、日本のお菓子づくりの本質。

「おせんべい」という日常のお菓子に込められた、妥協なき品質追求と地域との絆の物語。

 


身近なお菓子に隠された、知られざる挑戦の歴史

コンビニで何気なく手に取る「黄金あられ」や「田舎のおかき」。これらのおせんべいが、どんな歴史と想いを持って私たちの手元に届いているか、考えたことはありますか?

辻中俊樹さんが著した『米を洗う 米菓の縁で紡ぐ岩塚製菓100年の夢』は、新潟県長岡市に本社を置く岩塚製菓の創業から現在までを描いた企業ドキュメンタリーです。しかしこの本は、単なる一企業の歴史書ではありません。

日本の食文化を支えてきた米菓という分野が、時代の変化にどう対応し、どのように進化してきたのか。その過程を知ることは、製菓業界に携わる方だけでなく、食に関心を持つすべての人にとって価値があります。

私がこの本に惹かれたのは、「米を洗う」というシンプルなタイトルに込められた哲学です。毎日繰り返される当たり前の作業に、どれだけの想いと責任を込められるか。それこそが、ものづくりの原点なのだと気づかされました。

 

人の想いが紡ぐ、リアルな企業成長の記録

この本の構成は、時系列に沿って岩塚製菓の歩みを追いながら、重要な転換点では深く掘り下げる形になっています。全256ページは、読み応えがありながらも、物語性があるため飽きることがありません。

創業者の苦労話から始まり、戦後の混乱期、機械化への挑戦、品質管理の確立、全国展開、そして現代の課題まで。各時代の社員や関係者の証言が丹念に集められており、臨場感があります。

特に秀逸なのは、失敗や挫折のエピソードも率直に語られている点です。順風満帆な成功物語ではなく、試行錯誤の連続だったことが正直に描かれています。これは、現在ビジネスに取り組んでいる方にとって、大きな励みになるでしょう。

製造技術の進化についても詳しく記されています。手作業から機械化へ、さらには自動化へ。しかし技術が進歩しても変わらないのは、「米の声を聞く」という職人的な感覚です。この両立のバランスが、非常に興味深く描かれています。

辻中さんの文章は、専門的な内容も分かりやすく噛み砕いています。業界用語や製造工程の説明も、一般読者が理解できるよう丁寧に書かれており、製菓の専門知識がなくても十分に楽しめる内容です。

 

日々の実践に活かせる、ものづくりの知恵

レシピ本ではないこの書籍ですが、お菓子づくりに携わる方にとっての実用性は非常に高いと言えます。なぜなら、技術以前の「姿勢」や「考え方」を学べるからです。

原材料の選定に関する記述は、特に参考になります。岩塚製菓がどのように米の産地と関係を築き、品質を確保してきたか。契約栽培の仕組み、検査体制、トレーサビリティなど、現代の食品製造に必須の知識が詰まっています。

品質管理の手法についても、具体的な事例が豊富です。不良品を出さないための工夫、異物混入を防ぐ対策、衛生管理の徹底など、どの食品工場でも応用できる内容が記されています。

製菓学校の学生さんにとっては、就職後のキャリアイメージを描く助けになるでしょう。工場での仕事、商品開発、品質保証、営業など、様々な職種の社員が登場し、それぞれの役割とやりがいが語られています。

個人でお菓子教室を運営している方や、小規模な工房を持つ方にも学びがあります。規模は違っても、品質へのこだわり方、顧客との信頼関係の築き方など、本質的な部分は共通しているからです。

経営者の視点からも読み応えがあります。設備投資の判断、人材育成の方針、危機管理、地域貢献など、長期的な視点で企業を成長させるための考え方が随所に見られます。

 

多様な読者に響く、普遍的なメッセージ

製菓・製パン業界で働く方には、まず読んでいただきたい一冊です。洋菓子や和菓子、パンなど、ジャンルは違っても、素材と向き合う姿勢や品質への執念は共通しています。同じものづくりに携わる者として、多くの共感と刺激を得られるはずです。

食品メーカーで商品開発や製造に関わる方にも強くおすすめします。米菓という伝統的な商品を、現代の消費者ニーズに合わせて進化させてきた事例は、他の食品分野にも応用できるヒントが満載です。

地方でビジネスを展開している経営者の方にとっても、示唆に富んだ内容です。グローバル化の時代にあっても、地域に根ざし、地域資源を活かすことで成長できる。その可能性を、この本は具体的に示しています。

食文化や地域産業に興味がある方にも読みやすい内容です。新潟という米どころで、米を使ったお菓子づくりが根付いた背景や、地域経済との関わりなど、文化的な側面からも楽しめます。

学生の方、特に進路を考えている方にもおすすめです。食品業界、製造業、地方企業など、様々な切り口から将来のキャリアを考えるヒントが得られます。仕事とは何か、働くとは何かを考えさせてくれる一冊です。

 

変わらぬ信念が紡ぐ、100年の物語

この本を読んで最も印象に残ったのは、「変えてはいけないもの」と「変えなければいけないもの」を見極める智恵です。時代は変わっても、素材への敬意と品質への誓いは変えない。しかし製法や販売方法は、時代に合わせて柔軟に変える。この判断の連続が、100年の歴史を支えてきたのです。

辻中俊樹さんの取材は、表面的な成功談にとどまりません。社員の生の声、時には厳しい決断を迫られた経営者の葛藤まで、丁寧に掬い上げています。そこから浮かび上がるのは、完璧な企業ではなく、人間らしい温かみのある組織の姿です。

2022年の発売から時間が経っても、この本の価値は色褪せません。むしろ、効率と利益が優先されがちな現代だからこそ、この本が伝える「本物のものづくり」の姿勢が、より一層輝いて見えます。

おせんべい一枚に込められた、100年分の想い。それを知ることで、私たちの日常にある「当たり前」が、どれほど貴重なものか気づかされます。お菓子づくりに携わる方も、そうでない方も、この物語から学べることは計り知れません。ぜひ手に取って、ものづくりの本質に触れてみてください。


 

あなたが仕事や趣味で大切にしている「変えないもの」は何ですか?

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<書籍情報>

・作品名:米を洗う 米菓の縁で紡ぐ岩塚製菓100年の夢
・著者/編集:辻中 俊樹(著)
・出版社:幻冬舎
・発売日:2022年3月30日
・ページ数:256ページ
・ISBN-10:4344039246
・ISBN-13:978-4344039247


 

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