製菓の原材料として、主となる食材のひとつである「油脂」について、かんたんに解説していきます。
このページを参考に、油脂のイメージが湧いてくると、より深く油脂の知識が理解でき、自分の脳に定着できると思います。
■「油脂」とは?
「油(オイル)」と「脂(ファット)」の総称である。
名前の区別は「24度」で、この温度帯で液体か固体かで分けている。
■油脂の構造について
油脂は、「脂肪酸」と「グリセリン」がエステル結合したものである。
グリセリンに脂肪酸がどんな順番で結合しているかによって、油脂の性質が決まる。
■油脂の性質とは?
「可塑性」「クリーミング性」「ショートニング性」「フライング性」「安定性」の
5つの性質がある。
■油脂の可塑性とは?
脂のかたさが、温度の変化によって変わる性質のこと
■油脂のクリーミング性とは?
固体脂を攪拌すると、空気を抱き込みながらクリーム状になる性質のこと
■油脂のショートニング性とは?
焼き菓子などに「サクサク」としたもろい食感をあたえる性質のこと
■油脂のフライング性とは?
菓子や食材を揚げる性質のこと
■油脂の安定性とは?
油脂は、劣化すると「変敗」という現象が起こる。
変敗を促進させる要素は、「熱」「光」「金属」である。
・熱 → 60℃以上になると変敗は促進させる
・光 → とくに紫外線に当たると変敗は促進させる
・金属 → 全般だが、特に銅が変敗を促進させる
※砂糖 → 油脂の変敗を遅らせる
■製菓・製パンで使用される油脂は?
主に「バター」「マーガリン」「ショートニング」「サラダ油」の4種類である。
■バターって、どんな油脂?
牛乳からクリームを分離させ、脂肪球を集めて練ったもので、
主に「無塩」「有塩」「発酵」の3種類がある。
■バターに規定がある?
「乳等省令」により以下のように規定がある。
・乳脂肪分 → 80%以上
・水分 → 17%以下
※この規定に沿っていない油脂は、バターと表記できない。
■無塩バターと有塩バターは、なにが違う?
主に保存性を高めるために食塩を添加している。
※重量あたり1~2%添加されている。
製菓で無塩バターを使用する理由としては、塩味を出さないためである。
■発酵バターとは?
バター製造時に「乳酸菌」を添加して、「乳酸発酵」をさせたものである。
・発酵バター → 独特な芳香とコクがある
・非発酵バター → あっさりとしている
■バターは、どうやってできる?
「原料乳」→「遠心分離」→「クリーム」「脱脂乳」→「殺菌」→(「発酵」)→「エイジング」→「チャーニング」→「分離」「バターミルク」→「バター粒」→「水洗」→(「食塩添加」)→「ワーキング」→「バター」
いかがだったでしょうか。
油脂=バターと思われがちですが、マーガリン、サラダ油など多種多様な油脂が存在します。お菓子作りに相性の良い油脂もあれば、相性の悪い油脂もあります。油脂の特性を知ることで、お菓子に新しい要素を取り込むことができるので、製菓衛生師を目指す方は、理解必須です!
油脂について、何か知りたいことがあればコメントお待ちしております。
ありがとうございました。