ここでは、令和3年度に実施された関西広域連合の製菓衛生師試験について、科目別に私なりの見解で解説をしていきます。
今回は、食品衛生学をみていきます。
よろしければ、令和4年度の製菓衛生師試験勉強のお役に立てればと思います。
【食品衛生学】
問25:食中毒に関する記述について、誤っているものを一つ選べ。
1 食中毒又はその疑いがある者を診断した医師は、直ちに保健所長に届け出る義務がある。
2 細菌性食中毒予防の三原則とは、原因となる細菌を「つけない、増やさない、やっつける(殺す)」である。
3 食中毒は7 月に発生のピークがみられる。
4 細菌性食中毒は、感染型と毒素型に分類される。
正解:3
解説:近年、ノロウイルス食中毒が多く、ピークが冬季になりやすい傾向です。
問26:ノロウイルスに関する記述について、正しいものを一つ選べ。
1 消毒にはアルコールが効果的である。
2 カキなどの貝類、食品、河川水、海水中などで増殖する。
3 ノロウイルスによる胃腸炎の症状が回復した後は、患者からノロウイルスは排出されない。
4 食品の中心部が85~90℃で90 秒間以上の加熱で不活化する。
正解:4
解説:1について、ノロウイルスは、塩素が有効です。2について、ノロウイルスは、人の腸管(小腸)でのみ増殖可能です。3について、回復後も患者からは、ノロウイルスが排出されることがあるため、症状が治まったからといって油断は禁物です。
問27:カンピロバクター食中毒に関する記述について、誤っているものを一つ選べ。
1 数百個程度の菌でも発症することがある。
2 潜伏期間は、6時間以内である。
3 主な症状は、下痢・腹痛・発熱である。
4 主な原因は、生の鶏肉料理(鳥刺し、鳥たたきなど)である。
正解:2
解説:カンピロバクターの潜伏期間は、2~7日程度と長めです。
問28:ヒスタミンによる食中毒に関する記述について、誤っているものを一つ選べ。
1 顔面の紅潮、頭痛、じんましん様の発疹など、アレルギー症状と似ているのでアレルギー様食中毒といわれている。
2 ヒスタミンは細菌により生成され、中毒が発生する。
3 原因食品は、サンマ・イワシなどの赤身の魚及びその加工品である。
4 ヒスタミンは調理加熱により分解される。
正解:4
解説:ヒスタミンは、加熱処理により分解されにくいです。
問29:動植物と有毒成分の組合せで、誤っているものを一つ選べ。
1 ムラサキイガイ ― テトラミン
2 ジャガイモの芽 ― ソラニン
4 フグ ― テトロドトキシン
正解:1
解説:テトラミンは、ボウシュウボラやヒメエゾボラといった巻貝の有毒成分です。
問30:食品添加物の表示に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せを一つ選べ。
保存料、甘味料、酸化防止剤、( A )、( B )などの8 種類の添加物には、その用途名と物質名を併記することが食品表示法の食品表示基準で定められている。
A B
1 漂白剤 ― 軟化剤
2 着色料 ― 酸味料
3 糊料(増粘剤・安定剤・ゲル化剤を含む) ― 膨張剤
4 発色剤 ― 防かび剤(防ばい剤)
正解:4
解説:物質名と用途名を併記しなければならないものは、保存料、甘味料、酸化防止剤、発色剤、防カビ剤、着色料、漂白剤、糊料の8種類です。
問31:食品添加物の種類と物質名の組合せで、正しいものを一つ選べ。
1 甘味料 ― キシリトール
2 保存料 ― カテキン
3 着色料 ― 亜硝酸ナトリウム
4 調味料 ― カラメル
正解:1
解説:2について、カテキンは、酸化防止剤です。3について、亜硝酸ナトリウムは、発色剤です。4について、カラメルは、着色料です。
問32:消毒法とその適した用途の組合せで、誤っているものを一つ選べ。
1 煮沸消毒 ― ふきん、タオル
2 紫外線殺菌 ― まな板
3 次亜塩素酸ナトリウム ― 手指
4 アルコール ― 器具類
正解:3
解説:次亜塩素酸ナトリウムは、飲料水や野菜、調理器具、容器等の消毒に使用しますが、手指などの人体には使用しません。
問33:HACCPに関する記述について、誤っているものを一つ選べ。
1 平成15 年6 月の食品衛生法の一部改正において、「HACCPに沿った衛生管理」の実施が制度化されることとなった。
2 「HACCPに沿った衛生管理」は、その事業規模を考慮し、「HACCPに基づく衛生管理」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」に分けられる。
3 食品取扱従事者が50 人未満の小規模事業者は、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を導入することとなる。
4 「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」では、各事業団体が作成した手引書を利用して「衛生管理計画」を作成し、これを実施し、確認・記録を行う。
正解:1
解説:平成30年6月の食品衛生法の一部改正において、「HACCP(ハサップ)に沿った
衛生管理」が制度化されました。
問34:調理に係る施設、設備および器具類の衛生管理に関する記述について、誤っているものを一つ選べ。
1 まな板は、木製よりも合成樹脂又は合成のゴムのものが衛生上好ましい。
2 まな板や包丁は、用途別に分けなくても良い。
3 手洗い設備は、流水式の専用設備を設け、手洗い用洗剤、消毒液、ペーパータオルなどを備える。
4 床はタイル、コンクリートなどの耐水性材料を用い、排水が良く、掃除をしやすくするため勾配をつける。
正解:2
解説:用途別に分けたほうが衛生的です。
問35:食品取扱者及び調理従事者の衛生管理に関する記述について、正しいものを一つ選べ。
1 健康であれば、定期的に検便をしなくてもよい。
2 指輪は落下の恐れがなければ、外さなくてもよい。
3 トイレには調理作業時に着用する作業着、帽子、履物のまま入らない。
4 下痢などの症状がある場合は、手袋をして食品の取扱作業に従事すればよい。
正解:3
解説:1について、検便の実施は、本人の健康状態判断するのではなく、定期的に実施する必要があります。2について、指輪、ピアス等、アクセサリーは、外しましょう。4について、手袋を着用すれば安全というわけではありません。症状を上司等の管理者へ報告し、指示を仰ぎましょう。
問36:逆性せっけん(陽イオン界面活性剤)に関する記述について、正しいものを一つ選べ。
1 洗浄する物の表面に石けんや陰イオン界面活性剤が残っていても、殺菌効果は変わらない。
2 殺菌力が強く、手指の消毒に用いられる。
3 食品添加物に指定されており、食品の消毒に使用することができる。
4 洗浄する物の表面に食品の汚れが残っていても、殺菌効果は変わらない。
正解:2
解説:1、4について、せっけんと逆性せっけんが混同すると効果が激減します。殺菌効果の維持のために、殺菌前にしっかり洗浄しておくことが大切です。3について、逆性せっけんは食品添加物として認められておりません。
以上が、令和3年度に関西広域連合で実施された製菓衛生師試験の食品衛生学の解説です。
食品衛生学は、製菓理論に次いで問題数の多い科目となるため正解数を稼ぐためにも確実に把握しておくべき科目となります。食品衛生学の内容は、主に食中毒などの疾病に関する事柄が出題頻度として多くなります。とくに食中毒では、菌と症状を合わせて把握しておきましょう。また、近年制度化されているHACCPについても問われる問題が多くなってきています。HACCPに関しては、現場でも行っている衛生対策のひとつですから今のうちに行う目的等の把握をしておきましょう。
実際の試験問題は、関西広域連合のHPで公開されています。過去問題を繰り返し解いていくことで、問題のクセが見えてきます。令和4年度の関西広域連合で実施される製菓衛生師試験を受験される方たちに少しでも助けになればと思います。
以下のリンクは、試験対策に活用できるかと思います。
令和3年度製菓衛生師試験問題【関西広域連合】(pdf:346.3KB)
令和3年度製菓衛生師試験解答【関西広域連合】(pdf:18.7KB)
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