製菓衛生師という資格について考えてみた件

お菓子づくりに製菓衛生師の知識があれば、もっと楽しくなる!!

砂糖について #菓子の原材料#製菓理論

ここでは甘味料の代名詞とも呼べる「砂糖」についてみていきましょう。

 砂糖(ショ糖)

 語源は、「サルカラ」「サツカラ」と言い、古くはインドから唐(今の中国)に伝わったと言われ、その後、中国からいろんな情報とともに日本へと伝わったといいます。今でこそ砂糖は身近な食材ですが、昔は薬として使用され、とても貴重なものとして上流階級の人でしか食すことができませんでした。一般に普及してきたのは、鎌倉時代から室町時代に移るころに、南蛮菓子が伝わり砂糖も甘味料のひとつとして使用されるようになります。

  先ほど薬として使用されていたとありましたが、砂糖が体に与える効果は、血糖値を上げ疲労回復や精神安定などに使用されています。

 では次に原料となるものをみていきます。

 砂糖の原料は、甘蔗(カンショ)と甜菜(テンサイ)から抽出されたものがほとんどです。甘蔗は亜熱帯地方にできる「さとうきび」で、甜菜は温帯地方にできる「さとう大根」が主となります。それぞれ原料から抽出され精製されたものを「甘蔗糖」「甜菜糖」と言っています。原料は違いますが、それぞれからできた砂糖は科学的にはほとんど変わりがなく表示は統一して砂糖としています。

 精製方法は同じで、甘蔗や甜菜から抽出した糖汁を精製、濃縮すると半流動状になった糖ができます。これを「白下糖(シリシタトウ)」と言います。この白下糖を結晶化させ製造にしたものを「含蜜糖(ガンミツトウ)」と称しています。この含蜜糖をさらに精製(分蜜)して製造したものを「分蜜糖(ブンミツトウ)」と称しています。砂糖は、精製工程が多いほど、水分・転化糖・灰分の含有量が少なくなり、味も淡白でクセがなく、より白度が上がります。逆に精製工程が少なくなると、灰分などが微量に含まれるため味が濃厚で白度も下がっていきます。

 皆さんの身近にある上白糖やグラニュー糖は分蜜糖に分類され、逆に含蜜糖は黒糖などがあります。砂糖の分類に関しては、後ほどまとめていきたいと思います。

 ここからは、砂糖の特徴をみていきます。

 砂糖の特徴は、「砂糖の転化」「結晶性」「溶解性」「防腐性」の大きく4つあります。

●砂糖の転化

 砂糖はショ糖です。ショ糖は、ブドウ糖と果糖からなる二糖類でできています。このショ糖に酸や酵素を加えると、加水分解が起こりブドウ糖と果糖にわけることができます。この加水分解を「転化」といい、できた混合物を製造したものを「転化糖」といいます。この転化糖は、砂糖と性質が異なります。

        吸湿性  結晶性

  ・砂糖   低い   しやすい

  ・転化糖  高い   しにくい

●砂糖の結晶性

 砂糖は、他の糖に比べて結晶化しやすい性質です。結晶化とは一度溶けたものが再び結晶することを言い、とくに砂糖はしやすいのです。製菓の世界では、これを利用した製品が数多くあり、代表的なものとしてフォンダンやマロングラッセ、石衣といった菓子があります。この結晶性を抑える方法として、転化糖や水飴を加えることがあります。

●砂糖の溶解性

 砂糖は、水によく溶けます。水1に対して砂糖2を溶解することができます。また溶けやすいということで、他の材料と混ざりやすく加工性の高いものとして使用されています。

●砂糖の防腐性

 砂糖は、水によく溶けるという性質から濃度の高い溶液を作ることができます。この性質は、水分が少なくなると結晶化あるいは脱水化が起きます。酵母や細菌類は水分がなくなると繁殖生育しにくくなるので、食品は傷めにくくなります。ですので、砂糖濃度の高いものほど防腐性が高いということになります。また酸素が働きにくくなることから食品の酸化を防止することができます(酸化防止作用)。逆に砂糖濃度が低い(薄い)溶液は、水分がおおくなり砂糖が酵母や細菌類の栄養源となり食品が傷みやすくなりますので、注意が必要になります。

 

 

 砂糖は、非常に優れた食材ということがご理解いただけたでしょうか。むかしに比べ技術も進化してきた現代では、砂糖は非常に純度の高い製品を作ることができ、用途によって使い分けられるようにたくさんの種類が作られています。次回は、砂糖の分類をみていきたいと思います。

 

●参考文献

製菓衛生師全書